――なるほど。ところで、ヘリQを前進・後退させるには……。

「実は、それをコントロールする機能はつけていません。と申しますのも、実際にヘリQが上昇・下降する動きの中では、必ずしも一点に静止するわけではなく、機体の方向が揺らぎます。それによって前後の動きが生み出されるからなんです」

――その分、この製品は、シンプルに作られているというわけなんですね。

「一般に、ヘリコプターの模型は操縦が複雑で、コントローラーにはレバーが2つあり、それらを両手で同時に動かさなくてはなりません。そういったことは、初心者には難しいと思われます」

――子どもの頃に見た記憶があるんですが、大人の方が、河原のような広い場所で、大きな騒音の出るエンジンを搭載したごっつい模型を飛ばしていました。それをうんとコンパクトに、シンプルに、そして手軽にしたものがヘリQなんですね。

「そうですね。初めての方でも扱いやすくするため、機能もある程度簡略化していますが、部屋の中で手軽に楽しんでいただくには、これで十分だと思います」

――あと、リモコンにはトリムというボタンが付いているそうですが……。

「ラジコンのヘリコプターには大体付いているものなんですが、飛行時の機体の方向を調節するものです。ヘリコプターは、メインローターとテールローターの回転数の差を利用して垂直軸を中心にした機体の回転方向の向きを安定させるんですが、それを微調整する仕掛けです」

――機体のプロペラの上には、黒い棒のようなものがありますね。

「これは、安定させるための重りです。これが回転しているときに、これ自身がコマの原理でその場にとどまろうとします。外からの影響で機体が動いた時には、これに連動してローターが動いて、それによって安定を得る仕組みです」

――安定装置なんですね。

「スタビライザーと呼んでいます。この技術は、昔から実際のヘリコプターでも使われています」

――本体の材質は、どのようなものですか?

「ポリプロピレンという、タッパーウェアなどに使われているプラスティックの一種です。軽量で、ある程度の強度もあるものです。あと、カーボンを使っている部分もあります」

――うまく飛ばすコツはなんでしょう?

「レバーの前後の調節ですね。ヘリQを飛ばす高さをうまくコントロールすることです」

――慣れないうちは、墜落させてしまうことも多いと思うのですが、落っこちても壊れたりしないんでしょうか?

「まず大丈夫です」

――遊ぶ場所は、室内を前提にしているわけですね。

「屋外で遊ぶことは推奨していません。と申しますのも、この製品は、リモートコントロールするのに赤外線を利用しているため、屋外ではどうしても太陽光の影響を受けてしまいます。また、屋外ですと風の影響も受けます。なるべく無風の環境で遊んでいただくのが望ましいですね」

――ヘリQには、青・赤・黄の3種類の機体があるんですね。

「コントローラーに切り替えスイッチがあって、A、B、Cとバンドを切り替えることによって、3機のヘリQを同時に飛ばすことができます。青い機体がA、赤がB、黄色がCに設定してあります。」

青のヘリQ。Aバンドで操縦
(C)TOMY

赤のヘリQ。Bバンドで操縦
(C)TOMY

黄色のヘリQ。Cバンドで操縦
(C)TOMY