年配の方にも、インターネットは身近な存在


――失礼ですが大川さん自身は、ネット配信がどういうものか、最初の企画段階から認識していたんですか?

もちろん、それは認識していた。コロムビアが力を入れているのも知っていました。演歌歌手がネット配信するというと、どうしても清水の舞台から飛び降りるような感覚だったのではと想像するでしょ。でも、僕はパッケージ商品と同じように作品に力を入れるだけだから。配信そのものはこちらが関知することじゃないからね。

――それではパソコンは使っていらっしゃった?

使っていますね。事務所のホームページは2000年から開設していましたし、演歌界ではパソコンを始めたのは早いほうじゃないかな。昔はね、お孫さんとか、息子さんや娘さんが代わりにメールしてくるというのが多かったですが、今はもう年配のファンの方も自分でメールを送ってきてくれますよ。

だから、それに応えようにはしています。結構、昔の作品の問い合わせのメールも多いんです。4、5年前の作品から、それこそ30年も前のマニアックなね、自分でも「あ、こんな曲を歌っていたんだ」なんて忘れていたものまで。皆さんの心のなかで生き続けている歌は、本当にいっぱいあるんだなとネットのおかげで凄く感じましたね。あらためて歌い手として、一曲一曲を大事にしなくちゃいかんな、という思いが強くなった。

――演歌の世界はカセットテープも現役だけに、それは意外な話でした

今は昔と違って、レコード屋さんの数が少なくなっているでしょ。地方は特に少なくなっていると思いますよ。つい先日、母校が100周年ということで同窓会があって佐賀に行ってきたんですが、昔のいわゆるレコード屋さんというのが市内にほとんどないという話を聞きました。県庁所在地なのに。そんな時代ですから。いわゆる演歌のコアなファンが、CDやレコード、カセットテープに接する場がなくなってきている。そういった部分ではネットの存在は、これからもっと身近になっていくのかなと思いますよ。

――ネットなら昔の曲もありますし、いつでも購入できます

そう。そういうことは大きいよね。