1997年に全日本国民的美少女コンテストでグランプリに輝き、芸能界デビューした須藤温子が、今年で芸能生活10周年を迎える。CM出演や歌手として活躍しつつ、2001年に『恐怖学園』で映画初主演を果たした後は、映画、ドラマ、舞台に活動の場を移し、女優としての階段を上り始めた。そして今年は3本の舞台に出演し、現在は放送中の昼ドラマ『熱血ニセ家族』(CBC・TBS系 毎週月~金 1:30~2:00)の主演を務めている。撮影スケジュールがタイトで、出演者にはかなりの負担がかかるという"昼ドラ"主演の経験で彼女が得たものとは?

須藤温子
1983年11月1日生まれ。東京都出身。A型。1997年、第7回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。映画『なごり雪』(2002年)、『ちゃんこ』(2006年)、に主演。現在は放送中のドラマ『熱血ニセ家族』(CBC・TBS系)に出演中。また、12月24日より公演の『complex』(OBP円形ホール、青山円形劇場)に出演する。
(撮影:加藤浩)

――『熱血ニセ家族』(CBC・TBS系 毎週月~金13:30~14:00)がクランクアップを迎えました。撮影がかなりハードだったとか?

「噂通りでした(笑)。撮影は週に4日で、毎回9時から22時まで撮影するんです。しかも、私は主演なので、シーンも多くて。今はほんとにオールアップできてよかったと思っています。ただ、現場の雰囲気が良かったので、今はむしろ共演者の皆さんやスタッフの方々に会えないのが寂しいですね。撮影がスタートした頃から出演者たちのフィーリングが合っていて、それが最後まで続いたんですよ。特にお母さん(朝加真由美)が、リーダー役となって、盛り上げてくれましたから」

――"昼ドラ"ならでは苦労もあったそうですね

「どの現場でも、そうでしょうけど、特に"昼ドラ"は話数も多いので、シーンの切り替えが細かいんです。1週目を撮った10分後に4週目を撮ったりとか。だから、スタッフと出演者がちゃんとシーンを理解していないと、30分の映像に収めた時に場面と場面の繋がりが不自然になってしまうので、シーンの展開は常にイメージするようにしました。今回は撮影が始まる前に最終話までの台本をいただいていたので、最初から最後まで通しで読むようにしましたね。例えば、泣くシーンがあったとして、なぜ泣くのか、そこには必ず意味があるじゃないですか。それを理解したかったんです」

――撮影前から全話の台本を読めると、演じやすいのでは?

「確かにイメージはしやすいですけど、「全部読めて理解できますよ」と、イメージできる環境を与えられているわけじゃないですか。これが私にとってはプレッシャーでしたね。だから、クランクインする前は、『できないかもしれない』という不安で眠れないこともありました」

――その不安をどう克服したんですか?

「撮影中は夢中だったというのもあるんですけど、インしてから1週間くらいで、不安よりも楽しさとか、『やってやるぞ!』という気持ちが大きくなったんです。今はやり終えたという達成感はあるんですけど、まだ放送中だったりするので、見ている方々がどう思っているのかも気になるし、ふわふわした気持ちですね。オンエアが終わってから「自信がついた!」と言える日が来るんだと思います」

――作品のテーマは「家族の絆」。天涯孤独のヒロイン・陽子が、赤の他人9人とともに一つ屋根の下で擬似家族を演じるわけでですが

「陽子と私は性格が似ていると思ったんですけど、一番違うのは私は家族と住んでいるし、家族は生きているし、天涯孤独じゃない。家族がいて明るい子と、家族がいないのに明るい子だとやっぱりどこか違うと思う。引きこもりにならずに頑張っている陽子の元気は空元気なんじゃないかと思いました。彼女は、時折、その元気さが崩れちゃうという不安定な面があるんですが、私にはそういった不安定なところはないし、そこは想像しながら演じました」

――改めて、自分の家族について考えることはありましたか?

「クランクインしてから、『自分の家族って何だろう』って考えましたね。これまでは『家族だからこそ甘えられる』のは素敵なことだと思っていたんですが、最近は自分が家族のことを思いやることが大事なんじゃないかって考えるようになりました。思いやってあげたらスムーズに物事が進むこともあるし、自分も成長できるんじゃないかと思うんです。でも、しばらくはできないでしょうね。24になっても母親と喧嘩しますし(笑)」

――12月に入って、ドラマはいよいよ結末を迎えます

「陽子の理想は叶わないけれども、みんなの心は一つになる結末になると思います。あの家に皆で住めるのが最高なんですけど、みんながそれを求めて戦っている。それがどうなるか……そこはご覧きたいですね(笑)」