米IBMと開発パートナーは12月10日 (現地時間)、High-k/ メタルゲートを用いた32nm世代のソリューションを、2009年後半にIBMアライアンスパートナーおよび顧客に提供できる見通しを明らかにした。開発パートナーには、AMD、Chartered Semiconductor Manufacturing、Freescale、Infineon、Samsungなどが含まれる。

High-k/ Metal Gate Alliance Team

IBMは今年の1月27日にAMD、ソニー、東芝とともに、45nm世代のチップ製造にHigh-k/ メタルゲート技術を導入すると発表した。比誘電率が高いHigh-k材料をゲート絶縁膜に用いることで、誘電容量を保ちながら絶縁膜の厚みをつけられ、トランジスタの微細化に伴う漏れ電流を削減できる。そのHigh-k材料に適したゲート電極として金属を用いたメタルゲートが組み合わせられている。IBMは、ニューヨーク州イーストフィッシュキルの工場にHigh-k/ メタルゲートに対応する技術を導入しており、2008年前半にも45nm製品の生産を開始する予定だ。なお米国では、すでにIntelがHigh-k/ メタルゲート技術を用いた45nmプロセス製品を市場に投入している。

IBMが“high-k gate-first”と呼ぶプロセスは、パフォーマンス向上と消費電力削減という利点を維持しながら、よりシンプルかつ短時間で顧客がHigh-k/ メタルゲート技術を採用できるようにデザインされた。無線機器や家電などに用いられる低消費電力のチップから、ゲームやエンタープライズ向けなどの高性能なプロセッサまで、幅広い用途に対応できる。IBMによると、同社らのHigh-k/ メタルゲート技術を採用することで最大50%のサイズ縮小を実現しながら、エレクトロニクス向けでは消費電力の約45%の削減、マイクロプロセッサ向けでは最大30%のパフォーマンスの向上を達成できたそうだ。IBMとパートナーは、32nm世代のSOI技術のHigh-k/ メタルゲートへの対応を完了しており、すでにhigh-k gate-firstに従った32nmプロセスによるSRAMの試作に成功しているという。