映画『妄想少女オタク系』(監督: 堀禎一)は、紺條夏生による同名のマンガ(双葉社刊)を原作とする実写作品である。その主人公・浅井留美を演じるのは、『魔法戦隊マジレンジャー』でマジブルー・小津麗役を務めた甲斐麻美。果たして彼女は、腐女子という役柄をどのように演じたのか? 同作品が12月8日(土)から吉祥寺バウスシアターにてレイトショー公開されるのに先立ち、東京青山にある所属事務所オフィスで、お話をうかがった。

甲斐麻美(かい あさみ)。1987年1月9日 熊本県出身。趣味は写真を撮ること。特技はイラスト、走ること

――ご出身は、どちらですか?

「熊本県です」

――子どものころは、どんなお子さんでしたか?

「男の子に間違われてばかりいました。髪はいつもショートカットだし、日焼けして色が黒かったんですよ。遊び相手も男の子が多かったですし、いつもケガが絶えないくらいでした。10歳のお誕生日に遊んでて泥だらけになってしまって、夕方、洗車場に勝手に入って洗ってたらおばさんが出てきて怒られて、友だちと泣きながら家に帰ったこともありました(笑)」

――すごく元気で活発なお子さんだったんですね。

「学校のお昼休みとか、『なによ、男子』とか言って、男の子たちに跳び蹴りとかしてました(笑)」

――それは、いつごろまでのお話ですか?

「小学4年生ぐらいまでですね。高学年になると、みんなだんだん女の子になっていくじゃないですか。そのころになると、髪も伸ばすようになったりしました」

――その後、地元の中学・高校に進学なさったんですね。この世界に入る前は、どんな職業に就こうと思っていらしたんでしょう?

「人と接するとか人の笑顔とかが好きなので、ウェディング・プランナーになりたかったんです。結婚式って幸せな人たちしか来ないじゃないですか。もう絶頂の2人が(笑)。だから、そういうのが楽しいなと思って。今でもやりたいくらいです」

――この世界に入ることになったキッカケは、どのようなものでしたか?

「高校3年生の春だったんですけど、『映画のオーディション受けませんか』っていうチラシが、熊本と久留米の家々に配られたことがあったんですよ。あまり気にも留めてなかったんですけど、そのときおばあちゃんが『応募してみたら』と言ってくれたんです。それで、適当に撮った写真を5枚ほど添えて送ったんです」

――それで、そのオーディションを受けたんですね?

「違うんです。そのオーディションの応募期限を勘違いしてて、締め切りを過ぎた後に送っちゃったんです」

――それで、どうなったんですか?

「連絡があったんです。『この映画のオーディションは締め切りましたけど、ほかのを受けてみませんか』って。その連絡をくださったのが、今の事務所の方だったんです」

――その後、こちらの事務所から所属のお誘いがあったとき、ご家族の方はなんとおっしゃいましたか?

「最初は母がすごく心配して反対してました。ですけど、事務所の社長さんが熊本まで来てお話ししてくださって、それで母も安心して送り出してくれたんです」

――一方で、ご自身のお気持ちはどうだったんでしょう?

「やっぱり、最初は怖かったです。でも、上京するって決まったときには、もう『魔法戦隊マジレンジャー』(のマジブルー、小津麗)の役をいただいていたので、どちらかといえば『この役をうまく演じられるかな』っていうことを気にしていました」

――高校3年生の8月に事務所からお誘いがあって……。

「その2カ月後に『マジレンジャー』のオーディションがあって役をいただいて、12月1日に上京しました。まだ17歳でした」

――上京するとき、周囲のお友だちの反応はいかがでしたか?

「その前日、下校しようと思ったら『ちょっと待って!』って言われて、教室に戻ったんですよ。そうしたら、みんなで花束やぬいぐるみ、色紙とかを渡してくれて……もう抱えきれないくらい。しかも男子も。男子用と女子用の色紙があって、メッセージが書いてあったんです。もうすごい泣きました(笑)。その中に、『セサミストリート』のエルモのぬいぐるみがあって、それがキッカケでエルモが大好きになって集めるようになったんです。そのときもらった色紙は、今でも出して見たりしています」

――上京なさった当時は、どんなご気分でしたか?

「東京っていう街がホント怖かった。お仕事に関しては、もう『楽しー』しかなかったです」