サイベースは29日、災害対策向けソフトウェア「Mirror Activator」「ディザスタ・リカバリ・パッケージ」の2製品をリリースしたことを発表した。

サイベース マーケティング本部 本部長の富樫明氏

サイベース マーケティング本部 本部長の富樫明氏は、米国金融企業の例として、以下の3つのSLA(Service Level Agreement)を紹介。これらのうち、レベル2を実現する製品としてディザスタ・リカバリ・パッケージが、レベル1を実現する製品としてMirror Activatorが有効であることを明かした。

  • レベル1 : RTO(Recovery Time Object、復旧までに要する時間)が2分未満、RPO(Recovery Poing Object、障害時に発生しうるデータ喪失時間)がゼロ
  • レベル2 : RTOが60分未満、RPOが2分未満
  • レベル3 : RTOが4時間未満、RPOが1~5日

ディザスタ・リカバリ・パッケージは、「稼働系ストレージのログデータを読み込んでトランザクションを再現させ、そのトランザクションを待機系ストレージへ送る」という方法で、データの複製を実現するサーバ製品。通常、RDBMSの同期処理では、データベースとログデータの両方をコピーすることになるが、基幹システムではデータベースの規模が膨大になりがちであり、転送データが相当な量に上る。それに対し、ディザスタ・リカバリ・パッケージでは、ログデータのみを読み込むことになるため、一般的なLANやWANで対応できるほど、軽量で済むという。

サイベース セールスエンジニアリング部 花木敏久氏

一方、Mirror Activatorは、「ストレージに備わるボリュームコピー機能を用いて、稼働系ストレージから待機系ストレージへログデータのみを転送し、待機系ストレージ内でそのログデータを基にトランザクションを再現させる」という方法でデータの複製を実現する。「ディザスタ・リカバリ・パッケージの場合、理論上、数秒から数分の範囲でデータ喪失の可能性があるうえ、データサービス再開までには数十分~1時間程度要する」(サイベース セールスエンジニアリング部 花木敏久氏)が、こちらの製品であれば、データロスをゼロに抑えられるうえ、数分でデータサービスを再開できるという。

もっとも、データの複製には、ストレージのボリュームコピー機能を使って、データベースをそのまま複製するという方法も考えられるが、花木氏は「その方法では、データ転送の際に、トランザクションという概念を無視してデータが分割されることになるため、待機系ストレージのデータベースは"危うい"状態で復元されてしまう」という。それに対し、Mirror Activatorでは、ログデータのみを転送し、それを基にトランザクションを再現させてデータベースを復元するため、「トランザクション面も磐石」(花木氏)という。もちろん、これに加えて、データ転送量が大幅に少なくて済むというメリットも生じる。

また、サイベースでは、これらに加えて、障害/災害発生時にストレージの切り替えを自動的に実行する「OpenSwitch」という製品も提供している。これらと、Mirror Activatorやディザスタ・リカバリ・パッケージを組み合わせることで、可用性をより高めることができるという。

なお、価格は、Mirror Activatorが1CPUあたり1462万5000円、ディザスタ・リカバリ・パッケージが1CPUあたり389万9000円。いずれもSPARC Solaris、HP-UX、AIXおよびWindows、Linuxをサポートする。