マイクロソフトは15日、NEC、日本ヒューレット・パッカード、日本ユニシスの3社と共同で、Microsoft SQL Server 2008(以下、SQL Server 2008)の早期実証プロジェクト「Center of Quality Innovation(CQI)」を開始することを発表した。SQL Server 2008は、2008年に出荷が予定されている同社製DBMSの新版。今回の共同プロジェクトでは、現実の開発/運用と同等のシナリオで実証評価し、その結果をマイクロソフトのWebサイトを通じて公開するという。

米Microsoft、Microsoft SQL Server ジェネラルマネージャのクエンティン・クラーク氏

発表を行った米Microsoft、Microsoft SQL Server ジェネラルマネージャのクエンティン・クラーク氏は、NIST(米国標準技術局)が提供する「National Vulnerability Database」の検索結果を示し、「2004年以降、Oracle Databaseには毎年25~144件の脆弱性があったのに対し、SQL Serverに関しては1件も報告されていない」ことを説明。SQL Serverが、信頼できるプラットフォームであることを強調した。

同社では、SQL Serverの開発において、(1)製品(メインライン)は常に出荷可能に近い状態に保つ、(2)メインラインへの反映はImprovement(新機能や機能強化の単位)の開発完了後に行う、の2原則を励行している。さらに開発作業は、Improvement単位で進められ、その成果物は、コードが完成し、広範囲にわたるテストを終えた後に初めてメインラインに組み込まれるという。クラーク氏は、「このように大原則が正しく決められ、それを厳守している点が、前述の"脆弱性0件"につながっている」とした。

また、同社では、上記の開発プロセスとは別に、出荷準備のためのプログラムを実施し、さらなる品質向上に努めている。具体的には、以下の3つのテストプログラムを展開。これらをすべて終えた後に正式リリースを迎えるという。

  • Microsoft IT 展開: マイクロソフト社内のさまざまなシステムにおける実証
  • 早期導入プログラム(TAP): 40顧客のミッションクリティカルシステムでの実証と、1,000を超える顧客における検証
  • プレイバックテスト: 全世界の顧客のワークロードを再現するテスト

今回、マイクロソフトでは、これらに加えて、NEC、日本HP、日本ユニシスの3社と共同でCQIプロジェクトを進めることを発表。同プロジェクトでは、RFP(Request for Proposal)を策定するところから始め、実際にSIも行う。実務に基づく実証を行い、そこで得た知見をMicrosoft TechNetで公開する。品質向上はもちろん、SQL Server 2008に関する正しいSIノウハウを蓄積し、一般に開示できるという副次的効果もある。

実証シナリオとしては、「コンプライアンス」「データウェアハウス」「サーバ統合」「旧サーバからの移行」の4つが挙げられている。開発フェーズに深く関わる「コンプライアンス」「データウェアハウス」をNECが、ハードウェアを絡めた実証が必要になる「サーバ統合」を日本HPが、運用フェーズをターゲットにした「旧サーバからの移行」を日本ユニシスが、それぞれ中心になって進める。

NEC 第一コンピュータ ソフトウェア事業部 事業部長 赤津素康氏

日本HP 執行役員 テクニカルセールスサポート統括本部 統括本部長 山口浩直氏

日本ユニシス 理事 兼 共通利用技術部 部長 福島康夫氏

こうした実証作業を済ませた後、同社は2008年4月15、16日に東京でラウンチイベントを開催する予定だ。ただし、実際の出荷開始は2008年夏になる見込み。

SQL Server 2008のリリーススケジュール