宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)は7日、月周回衛星「かぐや(SELENE)」による月面のハイビジョン撮影に成功したと発表した。月周回軌道上からのハイビジョン撮影は世界初。「かぐや」は9月14日に打上げられ、10月18日に高度約100kmの観測軌道に投入されていた。

「かぐや」のハイビジョンカメラが撮影した画像(提供:JAXA/NHK)
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「かぐや」にはNHKが開発した宇宙仕様のハイビジョンカメラ(HDTV)が搭載されており、今回の撮影はこのカメラによって行われた。撮影日は10月31日で、1回目は嵐の大洋の北側、2回目は嵐の大洋の西側から撮影。画像データはJAXA・臼田宇宙空間観測所で受信し、NHKがデータ処理を行ったという。

「かぐや」に搭載されたハイビジョンカメラ(提供:JAXA)

JAXAのWEBサイトでは、すでに撮影された動画の公開も行われている(1回目/2回目とも、それぞれ8分間の動画が1分間に圧縮されている)。解像度は480×270に落とされているものの、臨場感あふれる動画となっている。こうなってくると、いよいよ「地球の出」の映像も楽しみなところだ。

「かぐや」は日本初の本格的な月探査機。H-IIAロケット13号機で種子島宇宙センターより打上げられ、10月4日に月周回軌道へ到達。その後、予定通り「おきな」(リレー衛星)、「おうな」(VRAD衛星)といった2つの子衛星を分離し、同18日には観測軌道(80×120kmの極軌道)に投入されていた。12月中旬より、定常観測を開始する予定。