アクセンチュアアウトソーシング本部統括エグゼクティブ・パートナー 中島康雄氏

アクセンチュアは23日、インフラストラクチャアウトソーシングの新たな形態として、今後、「ワンストップアウトソーシング」が最適解になるとの見解を示した。

アクセンチュアアウトソーシング本部統括エグゼクティブ・パートナーの中島康雄氏は、「これまでアウトソーシングは、単純な仕事の積み重ねという発想が強かったが、次のステップ、その次のステップへと向かっている。ITインフラの効率向上および高度化を追求することで、コスト削減だけでなく、企業価値向上の源泉へと変えていくことが可能」と前置きし、「業務およびITにおけるアウトソーシングを活用することで、ビジネストランスフォーメーション(事業の変革)を実現することが可能になる。その最適解として、ワンストップアウトソーシングが今後の新たな潮流になるだろう」とした。

同社では、ワンストップアウトソーシングを、かつてメインフレーム時代の主流となっていた「フルアウトソーシング」、90年代以降のオープンシステム時代における「マルチアウトソーシング」に続く次世代のアウトソーシング形態と位置づけており、同時に、過去のアウトソーシング形態の課題を解決するものとしている。

「フルアウトソーシングでは、ユーザにとっては、管理負荷を低減できる一方、ブラックボックス化すること、さらにベンダ主導でコントロールしにくいというリスクを抱えることになる。また、マルチアウトソーシングは、個別検討に基づき最適なソリューションを得られるものの、複数の技術やベンダを管理することになり、高度な管理手法が求められる。ワンストップアウトソーシングでは、最適ソリューションの選択肢を担保しながら、管理工数の抑止を同時に実現できる。マルチ・アウトソーシングで得られる最適化と、フルアウトソーシングで得られる管理工数の削減の利点を兼ね備えたものになる」(アクセンチュアアウトソーシング本部の市川博久シニア・マネージャー)とした。

だがその一方で、ワンストップアウトソーシングを提供するアウトソーサーに求められる能力として、「高度なサービス管理能力と、デリバリ提供能力に加え、顧客企業のビジネス戦略に対するITの迅速性、固定IT支出の削減に向けた仕事量の減少などといったITガバナンスの策定、導入に対しても積極的に関与していくことが求められる」(同)とする。

「すでにワンストップアウトソーシングを提供している企業もいくつかある。だが、多くのアウトソーサーが、ワンストップアウトソーシングに踏み出せない理由として、ガバナンスにまで踏み込んだ関与が行えないことや、中立性を担保できないなどの要因がある」(中島氏)という。

同社ではワンストップアウトソーサーに求めるべき3つの条件として、「ITガバナンス策定/IT変革ケイパビリティを保有していること」「柔軟なメニュー設計ケイパビリティ/サービス管理フレームワークを保有していること」「サービスデリバリモデルとして生産性の高いIT工業化プロセスを敷いていること」を挙げている。

ITアウトソーシングの流れ

ワンストップアウトソーサーに求められる要件

アウトソーシング本部 シニア・マネージャー 市川博久氏

一方、アクセンチュアでは、IDCと共同で調査した世界6カ国の1,000人以上の社員を持つ企業のCIOを対象にしたITインフラ動向調査を示し、この結果として、IT予算に占めるインフラ予算の比率が、全世界では32%であるのに対して、日本の企業では41%と高いこと、IT部門が管理していないITインフラ予算が日本の企業においては50%以上に達していること、また不明な予算が約10%に達していることなどを指摘。「日本の企業においては、全社横断的なITガバナンスが利いていないために、ITインフラが高コスト体質に陥っている」(アウトソーシング本部の市川博久シニア・マネージャー)とした。

また、アウトソーシングの活用については、日本の企業は単価の安いベンダを採用するよりも、IT戦略の立案、導入を行えるパートナーを採用することを重視。「現在、ITガバナンス統制に苦慮していることから、ハイバリューのアウトソーシングの活用を期待している理由のひとつ」と分析している。

さらにITインフラの高度化に向けては、「企業がITインフラの品質向上とコスト削減を実現し、その経営資源を、サプライチェーンの効率化や、顧客満足度の向上などの経営課題の解決に集中させることが可能な環境を実現するには、インフラストラクチャアウトソーシングの有効活用が鍵になる。ITインフラの高度化に向けては、その第1フェーズにおいて、現在のITインフラのリソースおよび運用形態の可視化が必要であり、それなしには高度化は成しえない」とした。

アクセンチュアでは、ITインフラのコスト効率向上および高度化に必要な7つの要素として、

  • サービスマインドセット
  • 標準プロセスツールセット
  • スキル/人材管理
  • サービス管理
  • グローバルITオペレーション
  • ITインフラ合理化
  • 高度なIT支出管理

を挙げ、「技術的課題だけでなく、全社横断的なガバナンスのもと、組織、プロセス、IT資産に対して、多面的に取り組み必要がある」とした。

ITインフラ動向調査の結果によれば、日本企業ではITガバナンスの浸透が十分ではないという

ITインフラストラクチャのコスト効率向上に向けたポイントと"7つの要素"