Googleは5日(米国時間)、Official Google Docs & Spreadsheets Blogにおいて、Google Docs & Spreadsheetsにいくつかの新機能を追加したことを発表した。Google Docs & SpreadsheetsはGoogleが提供しているドキュメントとスプレッドシート編集のためのWebアプリケーション。特別なプラグインを必要とせずにWebブラウザで動作する。

依然としてβ版という位置づけにあるが、ワープロアプリケーションやスプレッドシートアプリケーションの機能を提供し、機能追加も定期的に実施されている。

今回追加された機能は入力補完機能であるAutoFill機能と、Web上のリソースを直接インポートするための機能。前者はスプレッドシートアプリケーションにおいて多用される機能で、今回Google Docs & Spreadsheetsに追加されたことでユーザエクスペリエンスの大幅な向上につながった。後者はオンラインスプレッドシートアプリケーションならではの機能で、Google Docs & Spreadsheetsそのものに対して新しい価値観を提供するものになりそうだ。

AutoFill - 選択したセルを基に自動入力、Google Setsからの取り込みも可能

AutoFillはセルで選択した内容から自動的にコピー部分を展開する機能。セルを選択すると右下にポッチが表示されるので、このポッチをドラッグするだけでいい。動作内容も操作方法もスプレッドシートアプリケーションとほとんど同じだ。推測する内容がない場合はそのままコピー&ペースを実行する作業になる。入力を簡単にするための基本的で強力な機能であり、今回Google Docs & Spreadsheetsに追加されたことで作業がかなり簡単になる。

実験的な機能だが、ポッチをドラッグする前にCtrlキー(OSXの場合はAltキー)を押すとGoogle Setsを使って内容を補完するようになる。これ以外では細かい変更だが、文字に対して修正線を追加する機能が改善されている。

AutoFillさせたいセルを選択

右下に表示されるポッチを選択してドラッグ

元々選択していた内容から推測して自動展開される

AutoFillと同じ要領で作業するが、ドラッグする前にCtrlキーを押しておく(OSXの場合はAltキー)

Google Setsから引っ張ってきたワードが展開される

データインポート関数 - スプレッドシートで独自UIのRSSリーダの作成も

もうひとつの注目すべき機能がデータインポート用の関数だ。追加された関数はimportHtml、impotXML、impotData、importFeedなどで、引数にURLを指定するという特徴がある。オンラインで提供されているRSS/Atom、HTML、CSV/TSV、XMLなどのデータをそのままスプレッドシートに取り込むための関数で、オンラインアプリケーションとして興味深い機能だ。

GoogleはRSSリーダとしてすでに「Google Reader」を提供している。RSSリーダ専門のオンラインアプリケーションだけあって、そのUIを評価する声は多い。今回、Google Docs & Spreadsheetsに追加されたimportFeed関数は、Google Readerインタフェースに対するひとつの代替UIを提案するものとも言える。Google Readerのインタフェースは多くのユーザが扱いやすいように固定されたものだが、Google Docs & Spreadsheetsではそれをスプレッドシートアプリケーションのスタイルにおいて自由にカスタマイズできるという特徴がある。

今回の機能追加は2つの点で興味深い。まずAutoFill機能が追加されたことでスプレッドシートアプリケーションに必要になる最低限の機能の多くが整ってきたということ、もうひとつはimportHtml、impotXML、impotData、importFeedなどの関数が追加されたことでオンラインデータをシームレスに統合する機能が実現されてきたことだ。オンラインスプレッドシートアプリケーションとしてひとつのマイルストーンを迎えたと見てもよさそうだ。

また実験的機能だが、Google Setsと連携した機能を提供してきた点も注目される。Googleは多くのWebサービスを提供しており、さらに社内で多くのプロジェクトが進行している。今後も同様のマッシュアップが期待できるため、従来のデスクトップ・スプレッドシート・アプリケーションでは考えられないような機能が実現される可能性がある。機能追加も頻繁で、今後も注目すべき状況が続くと見てよさそうだ。