既報のとおり、Ext JS, The Ext teamは2007年8月1日(米国時間)、Extの最新版となるExt 1.1を公開した。ExtはJavaScriptで開発されたWebアプリケーションフレームワーク。スタンドアロンで提供されているフレームワークで軽量な上にデスクトップエクスペリエンスとかなり近い動作を実現しているという特徴がある。ほかのライブラリに依存しないうえ軽量で、しかも優れたディテールを実現したUIとその滑らかな動作に驚いたデベロッパも多かっただろう。

同チームは6日(米国時間)、次期ExtとなるExt 2.0のプレビューを公開した。2.0では1.1で実現されたデスクトップアプリケーションライクな動作をさらに強化するほか、パフォーマンスの改善、全体容量の削減に努めるとしている。

2.0では新しい機能として柔軟にカスタマイズできるシングルレベルカラムのグルーピング機能が提供される。グループレベルでサマリをロールアップする機能もある。これらの機能はDSS(Decision Support)やレポート機能に注力したアプリケーションで重要になってくる。グループサマリ機能はユーザが動作をカスタマイズする機能も提供されている。

グルーピング機能を活用したグリッドビュー

グループサマリ機能を有効にしている - 編集内容にしたがって自動的に計算処理が実行されるなど

もうひとつ興味深い機能がスクロール可能なタブの導入だ。Webブラウザやデスクトップアプリケーションで実現されている左右にスクロールするタブで、多くのタブを開いて作業する場合に便利。同機能についてはすでにアーリーテスターから良好な評価を得ているとされている。

タブが追加されるとスクロールして表示される - タブが増えた場合でも扱いやすい

またコンテナのサイズにコンポーネントをフィットさせるアンカーレイアウトの機能がFormPanelコンポーネントに追加されている。HTML/CSSではアンカーレイアウトの動作を簡単に実現させることが難しい。FormPanelを使うことで同様の処理が実現できる。また2.0では同コンポーネントをカスタマイズして活用するサンプルを提供するとされており、たとえばテーブルコンポーネントにツリーコンポーネントを組み合わせて活用した例が紹介されている。

アンカーレイアウト機能を有効にしたFormPanel - ウィンドウサイズを変更しても思いどおりにフィールドがフィッティングされる

ツリーパネルをカスタマイズして使っている例

Webアプリケーションでデスクトップアプリケーションと同じユーザエクスペリエンスを提供するという点においては、Extは最有力のWebアプリケーションフレームワークのひとつだ。Ext 2.0はさらに興味深いものになるだろう。Webアプリケーション開発に注目しているデベロッパはすでにExt 2.0の調査をはじめてもいいだろう。