米Citrix Systemsは15日(現地時間)、オープンソースソフトウェア(OSS)ベースの仮想化技術を開発する米XenSourceの約5億ドルでの買収を発表した。買収はキャッシュと株式交換の両方で行われる見込み。Citrixは「MetaFrame」などの名称で呼ばれるターミナル技術の開発で著名な企業。ユーザーは同技術の利用により、ユーザーアプリケーション群をサーバ側で実行しつつ、クライアント側は画面表示と入力のみの簡素な構成でシステム管理コストを削減できる。特にMicrosoftのWindows環境との親和性が高い。CitrixではXenSourceの既存戦略やパートナーシップをそのまま活かしつつ、両社の技術を組み合わせた統合ソリューションを提供していく計画。

Citrixは前述のMetaFrameによるMicrosoftとのパートナーシップを強化することで発展してきた。MetaFrameクライアントの利用により、ユーザーはさまざまなクライアントOSからWindows Server内のTerminal Serviceを呼び出せる。一方のXenSourceは、単一のクライアントやサーバ上で複数のOSを走らせることができる仮想化(バーチャライゼーション)技術を開発している。XenSourceはAMDやIntelが開発するハードウェア仮想化技術をサポートし、ハイパーバイザーを経由してネイティブレベルで異なるOSの同時実行やリソースを振り分けに対応する。IBMやHPなどのハードウェアベンダーのほか、Red Hat LinuxなどのOSベンダーとも提携を行い、ソリューションの展開を進めている。Citrixはこれら提携関係や製品ソリューションはそのまま維持しつつ、自身の既存顧客に新たな統合ソリューションを提案していくことで、仮想化技術の世界へと進出することになる。

仮想化技術は現在エンタープライズITの世界で最も注目を浴び、急成長を続ける分野の1つ。折しも14日(米国時間)には、XenSourceのライバルにあたる米VMwareがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場を果たしている。VMwareは2003年末にストレージベンダー最大手の米EMCに買収されて以降、仮想化技術の業界リーダーとして市場に君臨しており、これに続く形でMicrosoftとXenSourceが技術開発を進めている。Microsoftは2008年リリース予定のWindows Server 2008で「Windows Server Virtualization」と呼ばれる技術を標準搭載する予定で、一方のXenSourceはOSSであることを強みに技術を採用するベンダーの数を続々と増やしていた。XenSourceは最後発のベンダーではあるものの、VMwareやMicrosoftへの対抗上から多くのベンダーに注目を浴びている。米Wall Street Journalは16日付けの記事の中で調査会社の451 Groupのコメントとして、HPやCisco Systemsら大手ベンダーがXenSourceを含めてCitrixごと買収する可能性を示唆している。