カムイとは、アイヌ語で「神」のこと。もっと一般に「自然」と言ってもよいかもしれない。そんな名前のついたロケットが4日、打ち上げに成功した。

8月4日7時33分。台風5号の接近により、打ち上げの中止が危ぶまれていた「推力250kgf級CAMUI型ハイブリッドロケットの打ち上げ実験」は予定通り実施された。機体の回収には失敗したものの、高度3.5キロメートルに達し、地上からのコマンドによるパラシュート開傘にも成功し、2006年3月と7月の2回にわたる打ち上げ実験見送りの屈辱を見事に晴らした。

打ち上げ直後のカムイロケット
(写真提供: カムイスペースワークス)

飛行中のカムイロケット。機体はあっというまに雲の間に消えてしまったが、きれいに飛んでいった
(写真提供: カムイスペースワークス)

カムイロケットの本名は、CAMUI(Cascaded Multistage Impinging-jet、縦列多段衝突噴流)ロケット。この方式を発案し、特許を保有しているのは北海道大学の永田晴紀教授。製作にあたっているのは、赤平市にある植松電機の社員たち。理論面で支えるのは北大の学生たち。ロケット本体以外のテレメトリや計測器の部分で貢献しているのは北海道衛星チームの皆さん。

打ち上げ実施を担当しているNPO法人北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)の発表によると、道内外から113人の見学者があったそうだ。あの悪天候で、とても便利とはいえない場所に、あの早い時間に打ち上げを見に来るのは、尋常ではない。カムイロケットファンが着実に増えてきているようにも見える。