多様な人材の活用がグローバル企業の生命線

日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は6日、「Women's Summit Tokyo 2007 ~Managing Your Career~」と題したセミナーを開催。女性ビジネスリーダーの経験を知り、悩みや課題を共有し話し合うことで、より良いキャリアを構築し会社や社会に貢献する戦力となるためのヒントを得ることを目的に、同社、および日系/外資系企業の女性社員約300名が一堂に会し、パネルディスカッションやワークショップなどが行われた。

同セミナーでは、米HPの人事・人材開発部門のエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるマルセラ・ペレズ デ アロンゾ(Marcela Perez de Alonso)氏が登壇。HPの人事のトップとして、基調講演を行った。

マルセラ・ペレズ デ アロンゾ氏

300人もの参加者が集まった基調講演。男性の聴講者も多かった

マルセラ氏はまず冒頭の挨拶で、自身が3人の子と2人の養子を持つ母親であることを明かし、「仕事と子育ての両立は確かに難しいけれど、不可能なことではない」と力強く語った。また、世界175カ国以上に拠点を持ち、多様な国籍、言語、年齢層、性別が集まるグローバル企業として、HPが取り組む人材開発と教育制度について、"diversity(ダイバーシティ: 人材の多様性)"の考え方を重視していることを紹介。「イノベーションに対して、無限な人材を活用することこそが、グローバル企業の財産である」とした上で、企業における女性の重要性を強調した。

マルセラ氏によると、現在HPでは取締役会の直轄の委員会として、エグゼクティブコミニティを設置。月1回の割合で、「いかに女性を採用し、いかに女性が働きやすい環境を作るか」を課題に、女性社員の人材育成のためのプログラムやツールの開発や見直しを図っているという。さらに、全世界で25のリソースグループを通じて、世界各地でいかに社員それぞれが啓蒙し合い、経験を共有し、再度自身のキャリアアップが図られていることを紹介した。

運命は自身の手で切り拓くもの - キャリアに対しての自己責任

一方、個人のキャリア育成では、「People promise」という別のプログラムを用意。このプログラムではまず、キャリア開発のためのフレームワークを用意し、各部門や役職ごとに必要な経験値や満たされるべき条件を規定しているという。マルセラ氏は「人材の開発や育成は単にトレーニングに参加するだけではなく、"他を知る"ということさまざまなネットワークを通じて情報共有し、会社がどのように機能しているかを理解すること」と述べ、"学ぶ"ことの大切さを訴えた。

また、同社では"HPファースト"を導入。Web上で社員が履歴書を書き換え、更新することで、新たな人材登用や昇進の機会となるソリューションを提供しているといい、こうしたプログラムを積極的に活用するよう促し「自分の運命は自分で切り盛りして、自分のキャリアには自分で責任を持つべき」と、会場の参加者に対して叱咤激励の言葉を語った。

さらに、自身のこれまでの経歴を紹介。チリで生まれ、大学で心理学を学んだ後、地元の銀行に就職し、人事部に配属され、自身のキャリアをスタートさせたマルセラ氏は、その後シティバンクにスカウトされ、さらにグローバル部門の担当として米国へ移動。子育てをしながら難しい選択を強いられることになったものの、キャリア実現のための家族のサポートや友人・同僚関係の"ネットワーク"の大切さに加え、「キャリア開発には、後押ししてくれる人、自分がこれだけ頑張れるんだということを教えてくれる人が重要。そして、"私を選んでくれた以上はがっかりさせてはならない"という気持ちで最善を尽くした」と、上司の存在の大きさを語り、その後HPへの転職に至るまでの経緯を明かした。さらに「学習し続けるという情熱、リスクをとるという勇気が私のキャリアを形成してきた。チャンスを自分のものにして、継続をしていくこと、努力を続けること。これさえ守って自分のキャリアをコントロールできれば、必ず成功するはず」と、参加者へのエールを送った。

HPの人材マネジメントの実情は…

また、HPのマネジメントに対する評価への取り組みを紹介。「リーダーとして本当に優れているか? 本当にベストな人材がマネジメントクラスに配置されているとは必ずしも言えない。ギャップはある」とし、現在、HP社内では人材の再精査を行っている段階にあり、社内におけるマネジメント職の人材育成の体制が整っていないことや、場合によっては外部からの人材の登用も視野に入れた改善を図っている現状を語った。

さらに、他の社員の成長を妨げる要因となっている人員に対して、今後は人材の評価基準として"部下の育成"をスコアカードに取り入れる予定であることを明かした。また、公私における助言を行うなど、相談役となる"メンター"制度に触れ、「よきリーダーとは、人を育てたい人。自分の部下の成長を望み、喜び、そのためにアドバイスする人」と、企業におけるリーダー的人材の理想像を語った。