中国セキュリティソフト大手の金山軟件(キングソフト)がこのほど、実験室を設立した。金山が本格的な研究開発拠点を設立したのはこれが初めてだという。金山の「技術立社」戦略は、これにより新たな一歩を歩みだすことになった。

金山総裁兼CEOの雷軍氏は、「実験室は主に先端技術の研究開発と、冒険的な新製品開発を行うが、同時に社内外の開発チームに技術サポートを提供し、共同開発も推進していく。目下、データストレージの研究開発に集中している」と、実験室の果たすべき役割などを明らかにした。そのうえで同氏は、「世界でも一流のソフトウェア技術企業になるのが、当社の今日まで追いかけてきた理想。金山実験室の設立は、この理想が現実になるための重要な一里塚だ」と、その重要性を強調した。

実験室が設立される背景について、実験室責任者の徐式偉氏は、「日常的なプロジェクトに取り組んでいる際、時間制限を受けて重要技術に関する要求をあえて放棄したり、簡略化せざるをえない場合がある。実験室があれば、これまで普通のプロジェクトでやりたくてもできなかったことが可能になる。我々の研究開発成果は必ずや本質的な企業競争力の強化につながる」と語った。

徐氏はさらに、「金山実験室はオープン実験室。われわれはオープンソースコミュニティの重要性とパワーを認識しており、われわれの研究開発成果もそれにフィードバックできるよう努力していきたい」と述べた。

中国のソフトウェア産業が人材不足に悩んでいるのは周知の事実。実験室設立にともなう人材育成力の向上がソフトウェア、オンラインゲームなど諸分野における金山の研究開発力アップにつながるとの見方が有力だ。