20年前、中国の家庭では、ソニーの電化製品が正真正銘のステータスシンボルだった。物が少なく、収入も少なかった当時の中国では、輸入家電製品が「贅沢品」の代名詞だったからだ。「家電製品」と言えば、ソニーやPanasonic(松下電器産業)、東芝など日本のブランドが真っ先に思い浮かび、これらの名を知らない人は殆どいなかった。

しかし、長年の経済成長を遂げた後、今日の中国では、市場環境に大きな変化が現れてきている。商品の供給が豊富になり、国民の家庭収入も顕著に増加した。80年代を風靡したいにしえの名ブランドも、いまや中国人の視線を一身に集めるものではなくなった。少なくとも、もはや唯一の選択肢には成り得ない。

たとえば、国美のような大手家電量販店に行ってみよう。ソニーの売り場もその他数多くの中国国内外のブランドと一緒に並べられて、何一つ目立つ所はない。むしろ一部の新興ナショナルブランドの方が往々にして販促活動が猛烈だ。特に新製品の宣伝活動は目まぐるしいほどで、人々に活気を感じさせるが、ソニーを初めとする日本ブランドは筆者に「寂しい」という印象すら、昨今、与える。

索尼(中国)有限公司は、ソニーの中国国内業務活動を統一的に管理、協調することを目的に、1996年10月に北京で設立された企業だ。中国における地域総本部として、索尼(中国)は、中国国内では電子情報業界への投資、製品販促、ユーザー向けアフターサービスなどに従事、また、ソニーの中国各地拠点に対してはマクロ的管理と広範な業務サポートを行い、同社の中国事業を支えてきた。

2003年頃から、ソニーはブランドイメージの再構築に注力してきた。昔日を思えば、元来、ソニーブランドは中国でも絶大な影響力を持っていた。ソニー製品であれば、多くの消費者は他メーカーの製品と比較しようともせず、少々高くても気にせずに買っていたのだ。

しかし、現在の消費者は違う。