宇宙産業界大手のEADS Astrium(本社・フランス)は、高度100kmの宇宙空間を弾道飛行する新宇宙船の研究開発を進め、宇宙旅行ビジネスを立ち上げることを正式に発表した。フランスのル・ブルジェ(Le Bourget)で開催されるパリ航空ショーを前に、現地で開かれたスペシャルVIPイベントにてアナウンスが行われている。

すでに今回の発表会場では、新宇宙船の実物大モックアップの展示が行われたということで、打上げ時にかかってくる4~5Gの負荷にも快適に耐えられるという、定員4名の搭乗客向け特殊設計シートなどが公開された。一般的なビジネスジェット機サイズとなる新宇宙船は、通常の空港の滑走路から飛び立ち、高度約12,000メートルの上空でロケットエンジンに点火。高度100kmの宇宙空間の弾道飛行中に、約3分間の無重力状態を体験可能とされている。

快適性を重視した特殊設計シートが装備される。宇宙空間まで上昇すると無重力を体験可能
© 2007 Marc Newson Ltd

世界初の民間機による有人弾道宇宙飛行に成功した「SpaceShipOne」(SSO)に代表されるように、上空までは母船で運ばれ、切り離しを行ってからロケットエンジンに点火して宇宙空間へ向かうスタイルの宇宙旅行ではなく、同社の新宇宙船が目指しているのは、離陸後約90分で、再び飛び立った通常の空港滑走路へと着陸するスタイル。だれでも気軽に宇宙旅行に出かけられる、安全性を重視した設計が手がけられるとしている。

通常の空港滑走路での離着陸が行える
© 2007 Marc Newson Ltd / NASA

同社は、年内にも新宇宙船の最終設計を完了し、来年より実際の製造過程へ進む予定。順調に進めば、2012年には初の定期運航が開始されるという。ちなみに1名の旅行代金は、約15万ユーロ(約2,400万円)~約20万ユーロ(約3,200万円)と発表されている。