ITアウトソーシング大手のトランスコスモスは11日、東京大学と連携し、同大学大学院の学生に米国のIT企業で研修する機会を設けるプログラムを実施すると発表した。国内でのプロジェクト演習を7月に行った後、米Microsoftやトランスコスモスの関連企業などの中から研修先を選んでもらい、9月下旬に会社見学などを実施、今後の研究テーマや進路選択に役立ててもらう。費用はトランスコスモスが負担する。企業が全て用意するのではなく、自主的に研修先を選んでもらう研修プログラムは珍しいという。

同プログラムは、トランスコスモスが新規サービス開発経験に基づき、ビジネスの現場で直面するさまざまな課題の提示や先端技術の紹介を行うことで、国産IT技術の未来を開拓する人材を育成しながら、将来的には同社の人材確保につなげる狙いがある。

まず、7月3日・10日に「イノベーションケーススタディ」をテーマに、東京大学大学院工学系研究科・技術経営戦略専攻において、サービス開発事例を題材とした講義を実施。同社のデータベースマーケティングにおけるイノベーションケーススタディを通じて、イノベーターの暗黙知がどのような人物やプロセスを経て具現化するのかを理解すると同時に、企業とイノベーションとのあるべき関係性について考察する。

同プログラムの第2段階として9月下旬に1週間行われる海外研修では、シアトルやサンフランシスコ、シリコンバレーなどにある企業を学生に選んでもらい、企業見学や社員との交流、企業所在地や大学の視察を行う。この海外研修で獲得したビジネスモデルのアイデアの具現化を望み、東京大学先端科学技術センターの研究員になる学生については、「AISトランスコスモス特別奨学基金」により支援を行うとしている。