スウェーデンのEricssonは5日、売り上げ管理や顧客ケアソフトウェアを開発/提供するドイツのベンチャー企業「LHS」を買収する計画を発表した。Ericssonは、LHSの75.1%の株式取得を目指して買収提案をしており、提示金額は1株当たり22.5ユーロ。総額3億1000万ユーロを見込む。今後、LHSの株主および規制当局の承認を待つ。

LHSは、課金および顧客ケアのソフトウェア/サービスを提供する企業。ドイツを中心に世界7カ国で展開しており、インストール数は120を上回るという。2006年度の売上高は7160万ユーロで、前年比55%増の成長を遂げている。

Ericssonはすでに、LHSの主要株主らを通じて55.1%にあたる800万株を取得しており、残り20%については取り消し不能な約束を結んでいるという。買収価格の1株22.5ユーロは、同社の1ヶ月の平均株価に33%のプレミアムをつけたもので、買収総額は3億1000万ユーロになる見通し。取引は現金により行う。

EricssonはLHSを買収することで、課金/売り上げ管理ソリューションを強化する狙いだ。具体的には、自社のリアルタイム課金やプリペイド技術とLHSのポストペイド課金技術を組み合わせることで、統合型の課金ソリューションを固定/無線オペレータに提供する。オペレータはこれを利用することで、顧客との関係強化、コスト効率、財務リスク軽減などのメリットを享受できるという。Ericssonはすでに、リアルタイム/プリペイド技術で150社以上、課金仲介技術で300社以上の顧客を持つという。

同社は、買収の目的について、「マルチメディアを中心とした融合が業界や技術の面で進んでおり、最新技術をすばやく利用して新しいサービスとして提供するうえで、エンドツーエンドの売上げ管理ソリューションは必須だ」と説明している。

通信インフラ分野は、仏Alcatel-Lucent、フィンランドのNokia Siemens Networksなど大手の合併が相次いでおり、統合/再編が進んでいる。無線分野で最大手のEricssonは、自社より規模の小さい企業を買収することで事業を強化する戦略で、今回のLHS買収もその一環となる。なお、同社は先日、ネットワーク設計/最適化のためのプランニングプラットフォーム「Planet EV」事業を米CTS Internationalに売却している。