元記事は「エンジニアとして"売れる"技術ではなくなっているもの」という視点でリストアップしたものである。逆に言うと、一時はその技術で"食えた"ものが選ばれている。実際、この世界では登場時こそ話題になったものの、その後普及することなく消えた技術は山ほどあるわけで、ここで挙げられたのはむしろ「かつて成功を収めた技術」だと言うべきだろう。また、タイトルに「死んだ」などとセンセーショナルに掲げてはいるが、いまだにCOBOLを筆頭に挙げるあたりは、新鮮みに乏しいと言わざるを得ない。COBOLに関していえば、元記事中でも触れられているとおり現在でもメンテナンスの需要は残っており、これから新たに習得する価値があるかどうかはたしかに疑問だが、COBOLプログラマが即座に路頭に迷うという状況でもないだろう。

cc:MailやColdFusionに関しては、懐かしい名前を久しぶりに聞いた、という印象だ。さすがにいまどきその技術しか持たずに仕事をしている人が残っているとは思えず、こちらはちょっとタイミングを外している感じだ。一方、非RDBMSに関しては、XML DBなどが新たに主流になりそうな気配もあるため、必ずしも「死んだスキル」とは言えないような気もする。少なくとも、「リレーショナルでないデータベース技術」についても理解している技術者の価値がなくなるとは思えないのだが、現時点でそうした技術者がRDBMSしか知らない技術者よりも高収入を得られる保証がないという点は指摘の通りかもしれない。

やや興味を引かれるのは「非TCP/IP」のネットワーク技術が駄目な一方、「PCネットワーク管理者」の展望も暗いとされている点だ。インターネットブーム以降、TCP/IPを知っていればネットワーク管理者としての仕事は結構豊富にあったのは間違いないだろう。いまどき「TCP/IPは知りません」ではネットワークに詳しいとは見なされないのは間違いないだろうが、単にTCP/IPを知っているというだけでは有利な職に就けない可能性があるという点は、たしかにありそうなことにも思える。

「ではこれから何を知っていると有利なのか」という言及が元記事には欠けている点が問題で、単に不安をあおるだけという印象も拭えないのだが、好意的に見れば「古い技術にしがみついていないで、どんどん新しい技術を吸収すべき」という提言と理解することもできそうだ。変化の早いIT業界で技術をウリにしていくなら、立ち止まるのは論外で、進歩に後れずついて行ってやっと現状維持、上を目指すなら変化を先取りするくらいでないと、と聞く。簡単にできることではないが、努力を怠るとどうなるかという具体例として、たまにはこうして「一時隆盛を誇ったものの、現在では忘れられつつある技術」を見直してみる意味もあるのかもしれない。