皆さんは「シイラ」というオープンソースプロダクトをご存知だろうか。シイラは、木下誠氏を中心とする日本人技術者/デザイナー数名によって開発されたMac OS X用のWebブラウザである。「Macの美しいUIを損なわずに、Safariよりも高い操作性を実現する」ことを目標に開発が進められており、4月24日には約1年半ぶりのバージョンアップとなる「シイラ2.0」がリリースされた。本稿では、木下氏の話を基に新版の特徴をお伝えしよう。

まずは、以下の画面をご覧いただきたい。これは、シイラ2.0で複数のWebサイトを開き、Googleの検索画面をアクティブ表示させたときの画面だ。

シイラ2.0の画面

画面下部に並ぶ大きめのアイコン(わかりやすくするためにアイコンを最大表示させている)に注目してほしい。これは「PageDock」と呼ばれるもので、「サムネイル付きタブ」といった役割を果たす機能だ。ご覧のとおり、現在アクセス中のWebサイトの画面がそのまま縮小されて表示される。一般のタブブラウザでは、アクティブでないタブの情報はWebページのタイトルしか表示されないため、どのタブでどのサイトにアクセスしていたのかわからなくなることが多い。しかし、シイラでは、すべてのタブの内容が一目でわかるため、そういった混乱を回避するこができる。

また、画面の中央部には、ブックマークと履歴の一覧が半透明のパネル上に表示されている。一般的なWebブラウザでブックマーク/履歴を表示させるとWebページの視認領域が狭くなってしまうが、この方法であれば一切変わらない。シイラの開発思想どおり「美しさと実用性を兼ね備えたもの」になっていることがおわかりいただけるだろう。