中国でベンチャーキャピタル(VC)の存在感が増してきている。

VCはこれまでも中国市場で活発な動きをみせてきたが、昨年はこれまでにない活況を呈した。清科集団の報告書によれば、昨年、VCの投資額は17.8億ドルで、2005年よりも51.5%増加した。投資案件数は324件で、同42.1%の増加。一案件あたりの平均投資額は548.6万ドルで、同6.6%増となっている。こうした統計を元に、清科集団は、VCの投資額からだけみれば、昨年中国が米国に次ぐ世界第2位の「VC投資大国」になったとしている。ちなみに、清科集団とはVCファンドなどに情報サービスを提供しながら自らもVC投資を行う機構で、中国国内では高い評価を受けている。

China Ventureは、清科集団よりさらに刺激的なデータを発表している。China Ventureによれば、昨年中国国内で、VCによる投資総額は21.8億ドルだったが、これは対前年比で52.5%も増加したことを意味する。投資案件数は362件で2005年より21.5%増。一案件あたりの平均投資額は603万ドルで、対前年比で25.6%増だった。China VentureはVCに関する調査研究、情報サービスなどを展開し、国内外で強い影響力を持つ。

こうした増勢は今年になっても続いている。China Ventureの最新調査によれば、今年第1四半期の中国におけるVC投資総額は5.2億ドル、投資案件総数は72件で、一案件あたりの平均投資額は720万ドルだ。

4月末には、世界最大級のVCファンドであるKPCB(Kleiner Perkins Caufield & Byers)が、海外で初のファンドを中国で設立した。KPCB中国ファンドは3.6億ドルで、技術、インターネット、メディア、ワイヤレス通信など、高い成長が見込める産業領域のベンチャー企業に投資する計画だ。このほかにも、4月だけで、投資総額1,000万ドル以上のVC投資案件が10数件も確認されている。こうしたことから、VCは中国で依然として積極姿勢を続けており、拡大基調にあると言えるだろう。