SilverlightでMicrosoftがアピールしているのは、オンライン映画配信にも使えるような優れたビデオ品質。しかし、Silverlightに即した形できっちりとビデオを準備しないと、せっかくのメリットも活かせない。そこでMicrosoftのCore Media Processing Technologyチームのテクニカル・エバンゲリストであるGen Waggoner氏が、ビデオ・プロダクションの要点を説明した。

Silverlightはビデオ・コーデックとしてWindows Media Video(WMV) 7 / 8 / 9を扱える。オーディオは標準のWindows Media Audio(WMA)だ。Waggoner氏は、コンテンツ制作者がWMVを使うメリットとして(1)優れた画質をより低いビットレートで実現(2)高速なエンコーディング(3)ビデオホスティングにおける優れたTCO(4)充実したストリーミング / エンコーディング・ツールなどを挙げた。

まず、キャプチャはよりハイクオリティに。ネイティブ・ビットストリームまたは非圧縮のまま、DVブリッジは避ける。プリプロセスでは、コーデックに対してコンテンツを最適化するのがポイントになる。Silverlightは、プログレッシブビデオなので、プログレッシブにする必要がある場合はインターレースを解除して24fps化する。明るさやコントラストは、黒がWebブラウザのRGB=0、0、0と同様になるように調整。粒子を除きながらも、なめらかでシャープなエッジを維持できるようにノイズを軽減する。オーディオはダイナミックレンジを変えないように、コンプレッサーやリミッターは使わず、最も大きな音がシステムサウンドを超えないようにノーマライズする。

一切処理していないフレーム(左)と、インターレース解除などを施したフレーム(右)

エンコーディング設定は配信方法によって異なる。プログレッシブ(ダウンロード)の場合はクオリティが安定するVBR(Variable Bitrate)を使い、ストリーミングはビットレートが変わらないCBR(Constant Bitrate)にすべきだという。より優れた画質のビデオをコンパクトに提供するためには、時間がかかっても2-passを選択する。Microsoftはデータレートを10のべき乗で測っており、K=1,000(1024ではない)、M=1,000,000となる。フレームレートは、ビットレートが200Kbpsを超える場合は、ソースのフレームレートをそのまま使用。フレームレートを下げる場合は、元のフレームレートを整数で割った値にする。例えば24fpsのソースならば、12、8、6、50fpsなら、25、12.5、10、5となる。ちなみにサンプルとして披露された映画「Fantastic Four」のトレーラービデオは、1280×528(720p)、23.976fps(24p)。ストリーミング配信を前提に4MbpsのCBRでエンコードされていた。

オリジナルとエンコード後の映像を並べて設定の調整ができるExpression Media Encoder

Core Media Processing Technologyチームのテクニカル・エバンゲリスト、Gen Waggoner氏

Microsoftは、Silverlight向けのWMVファイルを作成するためにExpression Media Encoderという新しいビデオツールを用意している。ビデオ圧縮と共にSilverlight XAMLも作成される。だが、Media EncoderがSilverlight向けの専用ツールという訳ではなく、他のWMVエンコーディング・ツールもSilverlight向けに利用可能だ。