NECエレクトロニクスは26日、車載用32ビットマイコン「V850ES/Fx3-L」の13品種を発表した。動作周波数を20MHzと低く抑えることで、16ビット品と同等の価格を実現した。一方で処理性能は同社の16ビット品よりも2倍程度高い29MIPSとなっている。動作周囲温度は-40~125℃。自動車の車体制御や安全制御などの用途で利用できる。

車載用32ビットマイコン「V850ES/Fx3-L」

今回発表になった製品は、パッケージに64ピンのLQFPを用いた「V850ES/FE3-L」の6品種(品名はμPD70F3610~μPD70F3614)、80ピンの「V850ES/FF3-L」の5品種(μPD70F3615~μPD70F3619)、100ピンの「V850ES/FG3-L」(μPD70F3620~μPD70F3612)の3品種。

本製品は、同社の従来品である「V850ES/Fx3」の下位モデルに当たる。V850ES/Fx3は、動作周波数が32MHz(処理能力は40MIPS)のものと48MHz(60MIPS)のものを用意している。本製品はこれを20MHz(29MIPS)にすることに加えて、同社の車載品ではもっとも微細な0.15μmルールのCMOSプロセスで製造することにより、16ビット品よりも高い性能でありながら同等の価格を実現している。

同社によると現在、エアコンやワイパーの制御、パワーウィンドウやスライドドアの開閉、シート位置の自動調節、スマートキーレスエントリ、盗難防止装置の制御、エアバッグシステムの制御といった機能の実現には、16ビット品が多く利用されている。これらの機能には、コストは抑えつつもさらなる高性能化が求められているという。本製品は、こういった要求の強い16ビット品の市場をターゲットとしている。

本製品は、64k~256kバイトの内蔵フラッシュメモリと、6k~16kバイトの内蔵RAMを備えており、システムに合わせて選択できる。電源電圧は3.3~5.5V。なお、上位モデルのV850ES/Fx3とはソフトウェア互換がある。

サンプル出荷の開始時期は10月を予定している。1個あたりのサンプル価格は、128kバイトのフラッシュメモリを搭載した「μPD70F3612」の場合は750円。量産出荷の開始時期は来年(2008年)の春を予定している。今回発表した13品種の合計で、月産200万個を予定しているという。