日本HPは17日、高レベルのパフォーマンス/セキュリティ要件が求められる環境に適したシンクライアント型のソリューション「HP Blade Workstation ソリューション」を発表した。ワークステーションの処理能力とシンクライアントの堅牢性/保守性を生かし、金融業やCADの分野を中心にシェア拡大を目指す。

HP Blade Workstation ソリューションは、5月上旬から提供されるブレード型ワークステーション「HP ProLiant xw460c Blade Workstation(以下、xw460c)」を利用し、ワークステーション本体やストレージなどをデータセンター内で集中管理するというもの。ユーザー側には専用アクセス端末しか存在しないため、データを持ち帰られたり、危険なアプリケーションを勝手にインストールされたりする心配がない。また、専用アクセス端末さえ用意されていればどこからでもユーザーのデータ/環境をロードできるため、遠地のオフィスに出張した際にも支障なく業務を進められるうえ、オフィスを移転する際にもわずかな移設作業ですぐに業務に復帰することができる。

xw460cは、インテル Xeon 5100シリーズを搭載したブレードサーバ「HP ProLiant BL460c」をベースにした製品だ。NVIDIA Quadro FX 560Mグラフィックスなどが追加されており、PCブレードのHP ProLiant BL460cに比べて性能を大幅に向上させた。

また、xw460c上で処理されたグラフィクスデータは、「HP Remote Graphics ソフトウェア」により圧縮されて専用アクセス端末に転送される。この際に使われている圧縮技術は「HP2テクノロジ」と呼ばれるもので、「NASAの火星探査機で使われた」(日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステムズ事業統括 ワークステーションビジネス本部 本部長 小島順氏)という実績を誇る。圧縮率が高い点が特徴で、暗号化技術(128bit SSL)と併用し、高速かつセキュアな通信を実現したという。

日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステム事業統括 ワークステーションビジネス本部 本部長 小島順氏

ヒューレッド・パッカード ワークステーショングローバルビジネスユニット ブレードワークステーション・リモートグラフィックスソフトウェア製品 マーケティング ディレクター ダン・ノーヒューズ氏

HP Blade Workstation ソリューションは、すでに世界中の企業で導入実績がある。最近では、ロンドンに本社を構えるLloyds TSB銀行が導入し、2006年8月より運用を開始。「1,000個以上のディスプレイ、250台のクライアントから成る大規模システムの構築に成功し、パフォーマンス改善、配置変え時の業務リスク軽減、室内温度の低減などの効果が得られた」(ノーヒューズ氏)という。国内でも50以上の顧客でパイロットテストを実施中だ。

xw460cで構築したシステム。3台のブレード型ワークステーションの処理内容を4つのモニタで表示させている。

HP Blade Workstation ソリューションの主なターゲットは、金融業務とCADユーザー。さらに今後は、医療やGIS(Geographic Information System: 地図情報システム)にまで幅を広げ、さらなる販路の拡大をねらう。