米ローウェル天文台(Lowell Observatory)は、太陽系外惑星のHD209458bの最新観測データ分析を行い、水の存在を確認するに至ったと発表した。詳細な観測結果は「Astrophysical Journal」ジャーナルに掲載される。

今回の観測発表は、同天文台の天文学者であるTravis Barman氏が、米ハーバード大学(Harvard University)のHeather Knutson氏によって昨年分析されたハッブル宇宙望遠鏡の測定データを、新たな理論モデルで解析することによって得られた結論に基づくとされる。同氏は、HD209458bの大気成分中に、水蒸気が含まれていると確信するに至ったことを明らかにしている。

HD209458bのイメージ画像

Barman氏は「ついに太陽系外惑星の大気中に、水蒸気の存在を発見することができた。自分には、この説を唱える十分な根拠がある」と語っている。

HD209458bは、地球から約150光年の距離に位置しており、恒星の周りを3.5日で公転しているという。この公転周期は、恒星からHD209458bの距離が、太陽から水星までの距離よりはるかに短いことを意味しているとされ、恒星の至近距離を公転することから、観測は容易でないとされてきた。

しかし、HD209458bは巨大な惑星であり、公転時に地球から観測すると、恒星の光を遮ることになるため、これを利用したスペクトル分析による観測などが進められてきたようだ。同天文台でのHD209458bを対象とした観測活動は、米航空宇宙局(NASA)の「Origins of Solar System」プロジェクトのサポートを受けているという。

HD209458b各種の分析データ