米PCI-SIGは5月1日(米国時間)、従来のOCuLinkの後継として「CopprLink Cable Specification 1.0」をリリースした事を発表した。事前資料を基に、簡単にご紹介したい。

元々PCI-SIGとしては、2012年からPCI Expressの配線を外部などに引っ張り出す(あるいはシャーシ内での複雑な取り回しに対応する)ために、OCuLinkの仕様策定を始めていた。OCuLinkという名称はこの記事のPhoto04の脚注にあるように、「いや単純にOpticalとCu(Copper)のLinkなんで頭文字とってOCuLink」という話で、この当時はCopper、つまり銅配線以外に光ファイバーを利用した仕様も考慮していた。ただ2013年でもまだRevision 0.5であり、標準化が完了したのは2015年10月の事だった

このOCuLinkはPCI Express Gen 3およびGen 4に対応しており、とゆう事は最大16GT/secまでの転送に対応している格好である。すでにこのOCuLinkは広く利用されているのはご存じの通りである。

ただ、昨今ではすでにOCuLinkでは性能が不足気味になっている。DiscreteのGPUも、コンシューマ向けはPCI Express Gen 4対応の製品だけだからOCuLinkで不足は無いが、Server向けのGPGPU的用途の製品はPCI Express Gen 5対応が進みつつあり、しかもOCuLinkでの接続を前提としている。例えばAMDのGenoa用のReference BoardであるTitaniteでは、PCIe Slotそのものは2本しか用意されず、残りは全部OCuLinkのコネクタとして配されているのが判る。Titaniteは無理やりOCuLinkにPCIe Gen5の信号を通している(Photo01)訳だが、こういう使われ方が増えてきている事に対応し、「きちんとPCIe 5.0の信号を通せるケーブル」の必要性が高まっていた。

  • Titaniteの配線ブロック図

    Photo01:Titaniteの配線ブロック図。PCIeはライザーカードが2つ装着できるが、それとは別にMCEIO x8のコネクタが8つ配され、ここにPCIe Gen5を通しているのが判る

これに対応すべくPCI-SIGでもCablingに関してWork Groupが活動を行っており(Photo02)、ここでCabling Work GroupとElectrical Work Groupが共同で策定を行ったのが今回のCopprLinkという訳だ。

  • Optical Cableに関しては引き続き作業中との事

    Photo02:Optical Cableに関しては引き続き作業中との事

さてそのCopprLinkであるが、Internal CableとExternal Cableの2種類の仕様が策定された。まずInternal Cableの方(Photo03)であるが、これは先のTitaniteのケースと同じような使い方で、シャーシ内の配線に利用される形のものである。

  • NVMe Storageの接続などもこれを利用する事になると思われる

    Photo03:NVMe Storageの接続などもこれを利用する事になると思われる

配線長は最大1mとされ、コネクタはSNIAのSFF-TA-1016を前提にしている。SFF-TA-1016はx4/x8/x16に対応した4種類のプラグ/レセプタクルが標準化されており(Photo04)、これでx4~x16までに対応できる。OCuLinkはSFF-8611を前提にしており、こちらはx4とx8の構成しかなかったから、x16が必要な場合は(Photo01でもそうだが)2つのx8コネクタを併用してx16構成としていた。

  • 148 ContactはSideBandなしなら最大x24構成が可能

    Photo04:148 ContactはSideBandなしなら最大x24構成が可能だが、PCIeはSideBandが不要なので、恐らく124 Contactの方が利用されると思われる

今回はこれが1つのx16で済む形になる訳だ。なおSFF-TA-1016はこんな縦型(Photo05)にも対応しており、利用する環境に合わせて選べる格好だが、これ利用する側からするとPhoto04タイプとPhoto05タイプでプラグの形状が異なるので、ケーブルの用意とかでちょっと混乱を招きそうではある。

  • EFSFF向けということなので、あるいはこちらが主流になるのかもしれないが

    Photo05:EFSFF(Enterprise and Datacenter Standard Form Factor)向けということなので、あるいはこちらが主流になるのかもしれないが

一方のExternal Cableがこちら(Photo06)であるが、こちらは最大配線長が2mとなっている。

  • 2mだから隣接シャーシ間を接続するには十分だろう

    Photo06:2mだから隣接シャーシ間を接続するには十分だろうが、例えばPCIe SwitchをToRに配し、それと各シャーシを繋ぐにはちょっと不足する。あるいはToRとBoRの両方にSwitchを置き、そのどちらかに繋ぐ格好になるかもしれないが

コネクタは外部接続という事もあり、Internalよりごっついタイプ(Photo07)になっている。

  • PhoConnectorは単体で使われる訳ではない

    Photo07:Connectorは単体で使われる訳ではなく、下段のCageに収まる形になる。全体としてはEthernetのTransceiver Moduleの様な構造になりそう

こちらもx4~x16の3種類が用意されている。ちなみにSFF-TA-1032に関しては、現時点ではまだDraft Revision 0.0.14の段階であり、なので最終的には若干形状などが変わる可能性が残されている。ただもうメーカー、例えばTE ConnectivityはPCIe Gen5/Gen6用コネクタとしてSFF-TA-1032準拠のプラグ/レセプタクルをラインナップしており、余程の事が無ければこのまま標準化されそうである。

ちなみにこのCopprLinkは32GT/secの信号に対応しており、なので32GT/sec NRZのPCI Express Gen 5と32GT/sec PAM4のPCI Express Gen 6の両対応となっている。現在仕様策定中であるPCI Express Gen 7に関しては、“The Electrical Work Group has already begun pathfinding work on CopprLink Cables for PCIe 7.0 technology at 128.0 GT/s, showcasing PCI-SIG's commitment to the CopprLink Cable specifications.”というコメントが出ており、実現できるかどうかは兎も角として、少なくとも仕様策定作業を開始している事は間違いない。もっともまだ肝心のPCI Express Gen 7そのものの仕様が定まっていない(現状はDraft 0.5)から、まだ“Pathfinding”状態なのは止むないところだろう。

なおPCI-SIGによれば、CopprLinkはOpticalベースの接続方法とは直接的には無関係である、としている。そもそも名称をOCuLinkからCopprLinkに変更した時点で、Opticalは考慮対象から外したと考えるのが妥当であろう。

  • Opticalに関してはまだ“exploratory phase”との事

    Photo08:Opticalに関してはまだ“exploratory phase”との事で、項目が全部WIP(Work In Progress)になっている。PCI Express External Cablingは信号速度で配線長が変化するのがちょっと面倒。内部にRetimerを入れたActive Cableが出てきそうである

PCI-SIGは、このほかにPCI Express External Cablingという仕様を現在策定中である。これはSNIA SFF-8614(Photo09)を利用したもので、信号速度はPCI Express Gen 5まで(つまりPCI Express Gen 6は考慮対象外)である。こちらはStorage向けを意識したもので、現在のSAS/SATAの後継に向けたものとされる。といっても信号そのものはPCI Expressであることに間違いはないので、これを利用してStorage以外のデバイスを繋ぐアプリケーションもあるかもしれない。ただ構造的にシャーシ内の接続と言うよりはシャーシ外の接続に向いたものとなる。こちらは今年後半の仕様策定を目指しているという話であった。

  • SFF-8614はMiniSAS HDですでに利用されている

    Photo09:SFF-8614はMiniSAS HDですでに利用されている