商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」を運営・事業推進する北海道大樹町とSPACE COTAN、不動産デベロッパーの東京建物の三者は1月26日、「宇宙版シリコンバレーの実現に向けた包括連携協定」を締結したことを発表した。

  • 包括連携協定の様子

    包括連携協定の様子。(左)東京建物の神保健取締役常務執行役員、(中央)黒川豊大樹町長 、(右)SPACE COTAN 中神美佳取締役兼CMO(出所:東京建物)

同協定では、三者が連携・協同して宇宙関連事業や宇宙のまちづくりに取り組むことで、地域の課題解決や「宇宙版シリコンバレー」の早期実現を目指すことが目的としており、締結および協力の内容としては以下4点を挙げている。

  1. 宇宙港および関連施設(ロケット打ち上げ見学施設、宿泊施設、駐車場)整備に関すること
  2. 宇宙港を中心としたまちづくり(都市計画、住宅・商業施設開発)に関すること
  3. 宇宙版シリコンバレーの実現(ロケット関連産業の集積、工業団地の開発など)に関すること
  4. これら3つのほか、連携協定の目的を達成するために必要な事項に関すること

大樹町とSPACE COTANは、2021年4月に「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョン実現に向けて、HOSPOを本格稼働。民間のロケットおよびスペースプレーンの打ち上げのためのロケット発射場設備の整備を進めており、現在は新たな人工衛星用ロケット発射場LC-1(Launch Complex-1)と滑走路延伸工事を進めている段階にあるという。

また、東京建物は本社を構える東京駅前の八重洲・日本橋・京橋エリアでの大規模再開発プロジェクトなど、不動産デベロッパーとしてまちづくりにおいて幅広い知見と多数の実績を有している。そして、宇宙関連事業の拡大を事業機会の1つと捉え、宇宙港発展の基礎となる発射場整備支援のため、2023年12月に大樹町へ企業版ふるさと納税の寄附を行うなど、関係性の強化を図ってきた。

こうした不動産デベロッパーとして多数のまちづくりの実績やノウハウを持つ東京建物と、約40年間航空宇宙産業の誘致や宇宙のまちづくりを推進してきた大樹町、そして、HOSPOの運営事業者であるSPACE COTANが連携し、それぞれの強みや特徴を活かすことで、宇宙港や地域資源を活用したさらなる価値創出、まちづくりの取り組みを進めることができるようになることが期待されるため今回の包括連携協定の締結に至ったと3者は説明している。

なお、HOSPOの整備による道内の経済波及効果は年間267億円、約2300名の雇用創出や観光客の約17万人増加などの試算が出されており、3者では今回の締結を機にプロジェクトを加速させ、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指していきたいとしている。