電通グループとTOPPANホールディングスは12月5日、ODKソリューションズ、ソニーをはじめとする企業・大学と共同で、Web3.0ウォレット(デジタル資産を保管する財布のような機能)に、保有者それぞれの外見や話し方を精巧に再現したフォトリアルアバターを対話型のUI(ユーザーインタフェース)として適用する実証実験を2023年12月11日から開始することを発表した。

さらに、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)の保有状況に基づいて権利行使が可能なインセンティブを自動抽出し、ウォレット保有者に自然言語による対話でインセンティブ利用に関する案内も行うという。

同実証実験は、無機物であるデジタル資産保管機能であるウォレットに対し、限りなく人間に近い身体性を与え、対話型のUIによって情報のやり取りを可能にするというもの。

  • フォトリアルアバターをUIとして適用したWeb3.0ウォレットのイメージ

    フォトリアルアバターをUIとして適用したWeb3.0ウォレットのイメージ

実証は、2023年12月11日~2024月3月31日までの期間、近畿大学にてデータ取得し、放送大学で検証を実施する。

実証項目は「実績証明NFTについてアイデンティティ解析を行うシステムの構築」「アバターとUIの技術およびサービスの市場の可能性についての検証」「アバターをUIとして自身の外見を用いる場合と第三者の外見を用いる場合との反応差異の検証」の3点。

電通が、NFTの保有状況についてウォレット単位でポートフォリオの分析を行い、TOPPANが、ライトステージ(南カリフォルニア大学が開発した、高精度の顔計測が可能な装置)などを用いたフォトリアルアバターの制作や、対話表現に関わる技術を提供する。

加えて、TOPPANは自分とは異なる姿形をしたアバターUIも提供し、学生の会話内容や反応の違い、さらにインセンティブに対する反応の差異について、自身の外見を用いる場合との比較検証も行う。

今後両社は、共同研究各社と共同で、実証実験結果を基に、ブロックチェーン(世界中に点在するノード(通信ネットワーク上に存在する端末や交換機)に同一の記録を同期させる分散型ネットワーク技術のこと)上での展開時の手続きの標準化に取り組んでいきたい方針。