「教育カテイ見直しのカテイで、さまざまな問題点が浮き彫りとなった」という文章の場合、それぞれの「カテイ」に入るのは、「過程」と「課程」のどちらでしょうか。

本記事では同音異義語である「過程」と「課程」について、それぞれの詳しい意味や、構成する漢字の解説、使い方と例文を紹介します。

  • 「過程」と「課程」の違いとは

    「過程」と「課程」の違いやそれぞれの意味、使い方に例文を紹介します

「過程」「課程」の違いとそれぞれの意味とは

「過程」と「課程」は、どちらもある結果に行き着くために、物事を進めていくプロセスを表す言葉です。

しかし「過程」は、さまざまな物事が進んでいく際の道のりを指して、幅広く用いられる言葉です。これに対し「課程」は、教育や訓練における学習や作業の範囲、順序について限定して使用されます。

以下で、それぞれのより詳しい意味を見ていきましょう。

「過程」の意味

「過程」とは、さまざまな物事が変化し、進行して、結果に到達するまでの道のり、経緯を意味する言葉です。

例えば「人間の進化の過程」と言えば、「最も古い人類は700万年~600万年前頃に生きていたサヘラントロプス・チャデンシスだとされ、その後、400万年前頃にはまっすぐに立って歩くアウストラロピテクス・アファレンシスが生まれ…」といった具合の、現在の人間の形に至るまでの道のりを意味します。

またビジネスシーンにおいて、あるプロジェクトや目標を達成するために何を行い、それらがどう作用したか、何が起きたかといったことを段階的に示すことがあります。これも「プロジェクト(目標)達成までの過程」です。

「程」という漢字には「道のり」「範囲、予定」「決まり、規則」「具合」といった意味があります。

そして「過」という漢字には、「時が経つ」などの意味があります。

そのため「過程」は、時が経つ中での道のり、という意味合いを持ちます。

「課程」の意味

「課程」は、教育や訓練において、一定期間に割り当てて行わせる学習や作業の範囲、順序のことを意味します。

例えばある一定の期間に、所定のスキルを習得するための学習、訓練を割り当てて遂行することを指して用いられます。特に学校や企業において、知識や技能を身に付ける際の学習の流れを示すものとして、「教育課程」「博士課程」「養成課程」などの言葉で目にする場面が多々あります。

「課」という漢字は、音読みで「カ」と読む以外に、常用外ではありますが訓読みで「わり(あてる)」「はか(る)」「こころ(みる)」という読み方があります。

そのため「課程」は、範囲を割り当てるといった意味合いがあります。

「過程」「課程」の使い方と例文

  • 「過程」「課程」の使い方と例文

「過程」「課程」の使い方について、具体的な例文を参考に、使い方のイメージを膨らませましょう。

「過程」の使い方と例文

  • 社員のモチベーションを保つためには、結果はもちろん、過程を評価することが重要である。
  • 彼にとっては、孫の成長過程を定期的に撮影して、記録に残すことが最大の喜びである。
  • 製造過程における管理業務には、細心の注意を払っております。
  • 今回の成果について、どのような過程を経て成功に至ったかをしっかり分析して、今後に生かす必要がある。
  • この曲は、今までの制作過程とは全く違う手法をとっているため、実験的なサウンドを楽しんでいただけると思います。

「課程」の使い方と例文

  • 機械工学の博士課程を修了するため、会社から承認を得た上で大学院に進学しました。
  • 教員を目指すために、来年の春から教職課程を履修することにしました。
  • この度、新たにバイオサイエンス分野における専門家の養成課程を設立します。
  • 社会に対して開かれた教育課程とおっしゃいますが、具体的にどのような形を想定しておられるのでしょうか。

「過程」と「課程」の違いを理解して正しく使おう

「過程」と「課程」は、どちらも同じく「かてい」と読み、物事を進めていくプロセスを示す言葉であるため、使い分けに悩む方も多いでしょう。

本記事を参考に、おのおのの意味するところをしっかりと理解した上で、正しく使用しましょう。