皆さま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。ちなみにこれが掲載されているであろう元旦現在、筆者はまだ元旦を迎えておりません(泣)。

2016年はやっとプロセスの刷新があった時期で、Intel/TSMC/GLOBALFOUNDRIESというPCに関連するファウンダリがまともに14/16nm世代の製品を量産できるようになったことで、それぞれの製品が刷新されたわけだが、2017年もいろいろありそうな感じである。ということでまずはプロセスの概況から。

Photo01:2015年末に体調を崩したまめっち先生、2016年は元旦から病院通いの羽目に。ということで病院の診療台の上でキョドるまめっち

Intel - 14nm+プロセスのデスクトップ向け製品がまもなく登場

2016年のIDFで、Intelは14nm世代の新プロセスである14+について「さらっと」アナウンスを行った(Photo02)。これに関する話はこちらにもまとめたが、これは同社のFoundry Service向けのもので、従来の14nmプロセスと比較して12%程度性能が改善するとしている。

Photo02:4つのVariant(派生型があり、このうち実用に耐えるものとして提供されるのが2種類という意味なのか、社内的には4バージョンあり、このうちFoundry Optionとして提供されるのが2バージョンなのか、解釈が難しい

ここで言う性能の改善は「同じ消費電力であれば、12%動作周波数を向上できる」というもので、先の記事では「ただし2017年の製品ということで、KabyLakeには間に合わないことになる」と書いたが、実際にはKabyLakeにも適用されていたようだ。

つまり14+nmプロセス自身は2016年中に量産を開始しており、これをIntel Foundryで顧客のチップの量産に使えるようになるのが2017年から、というのが正確な解釈だったらしい。

すでにモバイル向け製品にKabyLakeの量産が開始されており、2017年初頭には、デスクトップ向けやモバイルでも消費電力の大きな製品が投入される予定なので、まずは一安心といったところか。従来のBroadwellは、動作周波数的には22nm世代のHaswellと大差なかったが、ここで若干とはいえ性能の上乗せが期待できることになる。

Intel - 10nm製品はいつごろ投入される?

Intelはこれに続き、10nm世代で10/10+/10++という3種類のプロセスを導入することを発表している(Photo03)。この10/10+/10++の違いであるが、こちらでも説明した通り、10がGeneral Purposeで、ほかのファウンダリ風に言えばHP(High Performance)相当、10+がHigh Performance MobileでこれはHPMに相当するものだ。

10++については明らかにされていないが、より高性能版(例えばGLOBALFOUNDRIESのHPP:High Performance Plus)や超低消費電力版(同じくGLOBALFOUNDRIESのSLP:Super Low Power)、あるいは低価格版(TSMCの16FFCとかSamsungの14LPC)のいずれかである。

Photo03:14+の次と同じタイミングで10が出てくるとしているので、予想としては2018年に10nmがリリースされる形。これは以前から公言されていたことでもある

この中では、低価格版の可能性が最もありそうに思える。14nm世代と異なり最初にGeneral Purposeが来るのは、もはやIntel自身がMobile向けを最優先にしていないためだろう。

14nm世代のころは、スマートフォン向けにとにかく低消費電力のコアが必要という事情があり、General Purpose向けを後回しにしてでもLow Powerを優先した。この結果、本来General Purposeを使うべきコア(Broadwell/Skylake)を無理矢理Low Powerプロセスで製造することになり、性能/消費電力比は改善しても絶対性能そのものは落ちる(Broadwell)とか横ばい程度(Skylake)になっていた。

もちろん「PC向け」には、これでも困らないといえば困らないのだろうが、Intelの稼ぎ頭であるサーバー部門に向けたXeonで、動作周波数が上がらず、Threadあたりの性能はむしろ落ちかねない状況になっていたので、さすがに問題であるという反省があったのだろう。

いまのところ、10nmでは本来の路線に戻った様に見える。これはPC向けに関して言えば朗報だろう。最初の10nmに関しては、2017年中にTest Vehicleが流れているはず(でなければ2017年に量産開始は絶対不可能)だが、いまのところこれに関する公式なアナウンスは一切ない(14nmのころから、Intelはこの手の話をほとんどしなくなっている)ため、現状は良くわからない。

ということで問題は、本当に2017年中に10nmが立ち上がるかどうかだ。Intelもこれを恐れてか、少しロードマップを変更している。後でもう一度説明するが、KabyLakeはあくまでもSkylakeの中継ぎであり、本来のSkylakeの後継(プロセスシュリンク版)は10nmのCannonlakeとなるはずであった。

このオリジナルプランは、モバイル向けのY/Uグレードにおける、TDPが15W以下の製品ではまだ生きている。「運がよければ」2017年中に出てくる(筆者は結構疑問視している)はずだが、これとは別に、消費電力の大きいU/Hグレードやデスクトップ向けのSグレードには、引き続き14nm(これが14+なのか14+の次のものなのかは判断できない)プロセスを使ったCoffee Lakeが2018年中に投入されるとしている。

要するにデスクトップ向けに関していえば、まもなく登場する予定のKabyLakeでZenを迎え撃つことになる。これはこれで面白いと思うのだが、とりあえずプロセス的には2017年中に10nm製品がデスクトップに降りてくる可能性はいまのところ皆無となっている。