不明点が多いAMD GPU

NVIDIAにも増して見えないのがAMDのロードマップ。コード名だけはリークが山ほどあり、シリーズ名はArctic Islands、ハイエンドコアがGreenlandになることはほぼ確定の様だが、それ以上の話がさっぱり聞こえてこない。

一応この2016年度のRadeonに関しては、既存のGCNと比較して2倍の効率をもたらす(Photo38)としているが、これはTSMCの16FFなりSamsung/GLOBALFOUNDRIESの14LPPなりを使えば、何もしなくても……は言い過ぎにしても実現は比較的容易であり、そう難しい話ではない。

Photo38:これは2015年10月のInvestor MeetingにおけるMike Papermaster氏のスライドから

新機能の話はというと2015年12月にRTG(Radeon Technology Group)のTechnology Summitで公開された話がこちら(Photo39)。4K/60pでのHDR出力と、これに対応してHDMI 2.0やDisplayPort 1.3に準拠したハードウェアを搭載する、という以上の話ではない。ほかにはFreeSyncへの全面的な対応とかFreeSync over HDMIなども挙げられているが、肝心の性能に関する話はいまのところ皆無である。

Photo39:もっとも4K/60p対応というと、GPU性能もさることながらI/F側の対応が欠かせないので、その意味ではI/F側の新機能という言い方もできる

ということでここからは未確認情報の山であるが、ハイエンドのGreenlandコアは96個のRadeon Core(Shader数で言えば6144基)で、トランジスタ数は180億個とされる。ファウンダリはTSMCの16FF+を利用、となっており、こちらはGP100にもまして巨大なコアになる可能性がある。

ちなみにトランジスタ数が倍増してもシェーダ数が倍増しないのは、このあたりで出てきた話にも関係する。FinFETの場合、トランジスタの微調整ができないので、1個ですまない場合は2つ、3つ……と整数倍で数が増える関係で、プレナー型のトランジスタに比べると数そのものが増えやすい(減る場合もあるので一概には言えないが)。

またシェーダ数が増えるとそれを繋ぐ内部のCrossbarも大規模化するので、必ずしもトランジスタ数に比例はしないということらしい。MemoryはHBM2で、16GBと32GBの両方のモデルが用意されるとする。このあたりはGP100とほぼ同じ状況だ。

ちなみにGreenland以下のラインナップについては現状一切不明である。恐らくRadeon Rx 400シリーズのラインナップの形で提供され、R7グレードのみHBM2、R5以下はGDDR5のままとなると思われる。このGPUに関して、AMDはTSMCとSamsung/GLOBALFOUNDRIESの両Fabを使うが、聞いている限りではハイエンドはTSMCとなっており、R9グレードは恐らく全製品がTSMC、R7が微妙なところだが、R5グレードはSamsung/GLOBALFOUNDRIESになりそうだ。

あとこれは筆者の個人的な推定であるが、このArctic Islands世代のGCN(GCN 2.0?)では、最適化の方向が変わると思われる。主な目的はHBMあるいは(実際に採用されるかは不明だが)GDDR5Xへの最適化だ。

具体的には、先にMemoryの最後で触れたMemory AccessのGranularityの話である。現在のGCNは32Bytes単位でのアクセスに最適化が行われているが、同時に扱うデータサイズを大きくするなどの形で、HBMの要求する256BytesのGranularityでの効率アップが図られているのではないかと思う。

最後に登場時期であるが、お披露目は早ければ2016年3月に開催されるGDC 2016となるだろう。ただこの時点で製品がどこまで流れてくるかはファウンダリ次第である。

ことプロセス技術に関する限り、旧ATI陣営はNVIDIAよりも大分スマートであり、NVIDIAがトラブルに見舞われている間に「するっと」製品を出すということがこれまでも何度かあった。

この傾向はいまもあまり変わっていないそうで、であれば案外するっと製品がでるかも知れない……というか、するっと出て欲しいものである。するっと出る場合の目安は恐らく6月のCOMPUTEXになり、トラブルに見舞われると9~10月というあたりだろうか? そんな訳でGPUのマーケットに動きがあるのは2016年後半になりそうだ。