DDR4-2666への移行は意外に早く訪れる

Skylakeの登場に合わせて、DDR4-SDRAMのマーケットもきちんと立ち上がったのは、まずは喜ばしいところだ。すでにRevision B0ガーバーを使うDDR4 Unbuffered DIMMの値段は順調に下落しており、ものによってはDDR3とほとんど変わらないところまできている。

一例を挙げると、Amazon.co.jpにおけるCrucialのDDR3-1600 8GBモジュール×2の価格は2015年12月31日現在で12,689円(Amazon Prime価格)、一方DDR4-2133 8GBモジュール×2の価格は同じく11,486円となっていて、価格が逆転している有様である。

もっともこの価格は、Revision B0ガーバーを早く処分したいというメーカーの思惑もあってのことなので、単純にメモリチップの値段だけでは説明が付かない部分でもある(Revision B0ガーバー絡みの話はこちらでレポートをお届けしたのでご覧頂きたい)。

ということで、ここからはIntelがIDFで披露したロードマップを基に、順次説明してゆく。Photo22はMemoryの全般的なロードマップである。DDR3やLPDDR系に関してはある意味動きが止まったというか、LPDDR4以外はもう新しい動きはなく、あとはニーズがある限り製造を続けるだけというモードに入っているのでいいとして、DDR4はまだこれから早すぎともいえる勢いでどんどん変化する。

Photo22:ここからPhoto27までの出典は、2015年に開催されたIDF 2015における"Memory Plans for Intel Architecture Based Client and Enterprise Platforms"というセッションの資料。2015年の第3四半期に入った時点での予測にも関わらず、割と楽天的というか、なんというか……

まずSpeedについて。DDR4-2400への移行は2016年送りになった。これはDDR4-2400をサポートするプラットフォームが2015年中に出なかったためで、2016年前半にはBroadwell-EP/EXがあることから、ゆっくりとではあるがDDR4-2400の量産が始まる。

逆にそこからDDR4-2666への移行は意外に早いらしい。なぜかというと、DDR4-2133→DDR4-2400とDDR4-2400→DDR4-2666は別々の改良が施されるというよりは、DDR4-2133→DDR4-2666への改良が行われる中で、DDR4-2666まで行かないものがDDR4-2400として出荷される的な感じなのだそうだ。そのためある程度歩留まりが改善したら、DDR4-2666まではすぐに行けるという話であった。

3DSはまだまだこれから

問題はDensityの方で、Intelは2015年中に8Gbit/chipがCapableで、2015年第4四半期には8Gbit/chipがSuite spotに入ると楽観的に予測していたが、実際にはそんな話は全然無い。

8Gbit/chipはメモリ各社ともサンプル出荷は始めているが、まだ大量出荷レベルではないとのこと。実際現在市場に出ているDDR4 DIMMはほぼ全量が4Gbit/chipのものを利用している。これが2016年中に8Gbit/chipに移行できるか……というとかなり厳しいところ。この結果として、1枚のDIMMの容量はUnbufferedとRegisteredで16GB、LRDIMMでも32GBに留まっている。

3DSを利用したDIMMはやっとSamsungがまともに出荷を開始したレベルだが、128GB品はなんとか2015年11月に発表されたものの、構成は4Gbitチップを4層積層で16Gbitとしたもので、このロードマップにある8Gbitチップによる2相積層ではない。

またSKHynixやMicronはまだ3DSの量産アナウンスをしていない(サンプル出荷は特定顧客にのみ開始しているらしい)が、これはTSVを利用すると歩留まりが猛烈に落ちてしまう問題からまだ抜け出せないでいるためとのこと。Samsungも状況は同じらしいのだが、プロセスのパートで説明したように低い歩留まりを気にしないという力技で解決しているらしい。

もう少し細かく見てみる。Photo23からはIHSのデータを基にしたスライドが続くが、2016年の第2四半期あたりでDDR3とDDR4の生産がほぼイーブンとなり、その先はDDR3の生産は急速にシュリンクすると見ている(Photo23)。

Photo23:このデータそのものは大体どのメモリチップベンダーも同様なロードマップを出しており、間違ってはいないと思う

2019年あたりになると、DDR4とMobile(LPDDR4など)がほぼ同じ市場規模になるというのは昨今のMobile系の躍進を見れば理解できる。むしろDDR4にここまでの市場があることも面白いが、Serverの需要が衰えていない(というか、むしろ高まっている)ことを考えれば、DDR4需要の半分以上がServer向けだったとしても驚きはない。

Photo24はDensityのロードマップであるが、ラフに言えばこれを1年ずらすと実情に近くなる気がする。左のグラフでは、2015年末で25%ほどが8Gbit品という話になっているが、聞いている限りは1%とか2%とかそういうオーダーで、ほぼ2014年末に近い段階である。ただ各社とも1xnm世代への以降をなんとしても成し遂げたいと思っているようなので、1年遅れでこの傾きが実現されそうである。

Photo24:現状の8Gbit品はモノダイのものではなく、むしろ4Gbit×2のTSVの方が入手性がマシ、という話になっているそうである

Photo25は各セグメントにおけるDDR3→DDR4への移行の具合の予測である。第3四半期以降の数字は予測なので、かならずしも正確ではないのだが、大まかな傾向としてはこんな感じであろう。ただDesktopに関して言えば、Install baseで言えば2017年末で半々というのは分からなくもないが、Shipment baseで半々というのはちょっと怪しい気がする。

Photo25:正確な数字はあれだが、2015年末の動向で言えば、Serverは少しDDR4への移行が遅れている印象で、逆にDesktopはちょっとだけ比率が高いかもしれない

というのは、IntelはCeleron以外はすべてSkylakeに移行が終わっており、恐らく2016年にはCeleronもSkylakeに移行する。一応SkylakeでもDDR3は動かなくもないのだが、基本Skylake以降はDDR3Lのみがサポート対象で、DDR3はオーバーボルテージ動作の形で使うことになるので、コンシューマ向けはともかくビジネス向けにはやや不適当である。

そのあたりもあって、ビジネス向けの長期サポートなどでDDR3が(Haswell世代までのプロセッサとあわせて)多少残るとはいえ、4割近くも残るとはちょっと考えにくい。Server向けほどではないにせよ、2017年末には10%程度までDDR3の出荷は絞られるのではないかという気がする。

さて、次(Photo26)が価格である。冒頭でも述べた通り、すでにDDR4 DIMMの方がDDR3 DIMMより安いという状況になるケースもあり、価格のPremireはなくなっている状況である。この後DDR3は出荷量が減る分むしろ価格が上がり、他方DDR4は緩やかに下がるという傾向はこれまでも繰り返されてきたことで不思議ではない。

Photo26:一番下に言い訳のように書いてあるが、基本DRAMの価格は需要の強弱に大きく影響を受けるので、これはあくまでも需要が一定だった場合の推定である

とは言え、2018年第2四半期に16GBのRegistered DIMMが50ドルあたりまで下がるか……というとちょっと微妙なところである。要するにこれは8Gbit DDR4チップがどのタイミングで実用化されるかという話であり、2018年までに既存の4Gbit DDR4チップを置き換えるほど量産できるようになっていれば実現可能性がある(逆に言えばこれが実現しないと無理)というあたりである。

ではその8Gbit DIMmはいつ来るのか? ということで、IDF 2015におけるMicronのスライド(Photo27)を見ると、いまは20nmプロセスでの量産となっている。この世代で速度的にはDDR4-2133、容量的には4Gbitが丁度うまくマッチしているが、次の8Gbit/2400MHz~2666MHzは、最低でも1Xnm(恐らく16nm前後)が実用にならないとちょっと難しい。

Photo27:これはMicronのスポンサーセッションで同社のScott Graham氏(GM, Hybrid Memory)が行った講演のスライド。ちなみに別のスライドによれば、"1Xnm development underway in Asia and 1Y/1Znm in US"だそうである

容量は極端な事を言えば、ダイサイズを倍にすればいまでも倍の容量になるが、コストも倍になるうえに、JEDECの標準パッケージに入りきらない恐れもある。DDR2と一部DDR3の世代までは、複数のDRAMチップを積層して、Wire Bondingで繋ぐという技もあったが、DDR4世代でこれをやると信号への影響が大きすぎる(だからこそTSVを使った3DSというアイディアが出てきた)ため、微細化は必須である。

この1X世代はMicronだけでなくSamsungやSK Hynixも手がけており、これまたちょっとした競争になっているのだが、ただどのメーカーも現時点では1X世代の量産には成功していない。

ちなみにこのMicronの1Xnmというのは、旧Elpida Memoryとの共同開発によるもので、時期的にはこれが2016年の早い時期に量産開始を予定している(Samsungも似たような感じだ)が、はたして実現するかどうかは微妙なところだ。

またこれに続き2017年末には1Ynm(12nm前後?)世代でDDR4-3200、2019~2020年ごろには1Znm(10nm?)でDDR4-4266という計画を立てているが、そもそもそれをどう実現するかの技術的な目処が完全に立っているとは言えないだけに、これが絵に描いた餅に終わる可能性もまだ残っている。

Photo28はSamsungのDDR4のブローシャだが、同社のロードマップでもDDR4-2400/2666は1Xnm世代、DDR4-2933/3200はまでは1Ynm世代を念頭においている事が明白である。そんな訳で、2016年は各社1Xnm世代のDRAMの量産がうまくいけば、という前提条件つきではあるが、DDR4-2666までが利用可能になり、また8Gbitチップが多少流通し始める事が期待されるだろう。

Photo28: Samsung Memory DDR4 SDRAMから抜粋