2015年10月のわずか10日ほどの間に、米国の半導体および半導体に関わる周辺産業で大型買収が相次いだ。

まず10月12日(米国時間)、代表的PCベンダであるDellがクラウドコンピューティング市場での躍進を図るため、ストレージベンダのEMCを670億ドルで買収した。その後、10月15日になり、アナログ半導体メーカーであるAnalog DevicesとMaxim Integratedが合併に向けて話し合いを行っている最中であることが報じられた。そして同じようなタイミングで身売りを検討しているという報道がなされていたSanDiskをWestern Digitalがあっという間に買収することを決めたのが21日(同)。さらには、同日、半導体製造装置業界でも、売上高で世界4位のLam Reserchが同5位のKLA-Tencorを買収することで両社の取締役会より承認が得られたという公式発表が両社から行われた。これにより、世界トップクラスの総合半導体装置メーカー、新生Lam Researchが誕生することになる。

半導体製造装置の業界再編の動きは、実は以前からあった。装置業界トップの米Applied Materials(AMAT)は同3位の東京エレクトロン(TEL)と経営統合することで2013年9月に基本合意していたが、米国独占禁止規制当局の審査をパスできる見込みがなくなったため、2015年4月末に白紙撤回を決めた。その間、他の装置メーカーは、このAMATとTELの経営統合を様子見している状態で(水面下ではさまざまな探り合いがあったにせよ)、合併・買収の動きが表面化することはなかった。今回のLam ReserchによるKLA-Tencorの買収は、両社の製品カテゴリがオーバーラップしないため当局から比較的簡単にOKをもらえそうだと、Lam Researchの経営幹部はコメントしている。

なお、両社の2014年の売上高を足し合わせると59.2億ドルで、トップのAMATの62.6億ドルに肉薄し、同社を脅かす存在になることは確実だろう。TELの事実上の買収に失敗したAMATの対抗策が注目される。また、製品群が重複しないLamとKLAが一緒になって、どのようなシナジー効果を産み出せるか今後、注目されることとなる。

この分でいくと、IT業界だけでなく、半導体業界も半導体製造装置業界も1~数兆円規模の強者同士の買収・合併で、最終的にはわずかな数の巨象だけが繁栄する時代が到来しそうだ。