評価機材

さて、そんな訳で実機をご紹介。バックパネルは以前レポートした通り、DVI×2 / HDMI×1 / DisplayPort×1の構成である(Photo19)。

Photo19:コネクタの保持方法が変わった関係で、HDMIやDisplayPortの周囲にまで排気口が設けられるように

補助電源は8pin+6pinのコンサバティブなもの(Photo20)。ちなみに基板長は267mm、全長はブラケットを含まず275mm、重量は1014gだった(Photo21)。またRadeon HD 7000世代ではあった背面カバーは廃されている(Photo22)。

Photo20:一番端には謎のネジ穴があるが、カードリテンションをオプションで取り付けられるようにという配慮だろうか?

Photo21:前モデルに比べると、カバーがやや角ばった関係で太くなったように感じるが、厚みそのものに変化はなし

Photo22:背面からの廃熱に考慮したのか、あるいは重量増を嫌ったのか、そのあたりは不明

ところで先ほどのベンチマーク写真に出てきたUber ModeとQuiet Modeであるが、本体の上側に小さなスイッチが設けられている。これはBIOS Settingの切り替えスイッチである。

Photo23:これはQuiet Modeの状態に設定されている

Radeon R9 290Xは2 種類のBIOSを搭載しており、それぞれ別の動作パラメータが設定されている。1つがQuiet Modeで、これは室内の静粛性に配慮したモード、もう1つがUber Modeで、こちらはフルパフォーマンスを出すように設定されている(その分うるさい)。

もっともUber Modeが「すごく攻めた状態」かというとそうでもないようで、実際Photo13とかPhoto14を見ると分かるとおり、「あんまり変わらない」というのが正直なところであろう。

ちなみにヒートシンクそのものは以前と同じく、メモリ類まで含んで全体をカバーするもの(Photo24)。基板はPhoto25の様に、GPUコアを中心に16個のGDDR5チップが並ぶ、なかなか壮観なものである。GPUそのものは以前ハワイで展示されたものとほとんど同じ。

Photo24:Radeon HD 7970のものより大きめなのは、やはり消費電力が増えているためであろう

Photo25:電源は6-Phaseだった

Photo26:ダイに直接刻印はなく、パッケージのみ。ハワイで展示されたのは今年4月(1316:2013年16week)製造のものだったが、こちらに搭載されているのは今年5月(1321:2013年21week)製造のものだった。微妙にSteppingも変わっている模様

搭載されているGDDR5はSK HynixのH5GQ2H24AFRだった(Photo27)。

Photo27:Speed GradeはR0Cなので、1.5V駆動で5Gbps動作のものと思われる

Windowsにおける評価はこんな具合(Photo28)。CatalystやGPU-Zでも正しく認識された(Photo29,30)。

Photo28:遂にCPUのスコアが一番低いという状態に

Photo29:BIOS Versionなどはまだ評価機なので、あまり意味がない

Photo30:GPU-Zでの評価。一応正しく情報が取得できている

ちなみにこのRadeon R9 290Xに対応したCatalystでは、AMD Overdriveが直感的に扱えるようになった(Photo31)。Photo31は負荷を掛けていない状態だが、負荷を掛けるとこんな感じ(Photo32)。さらに、オーバークロックの設定もやりやすい(Photo33)。

Photo31:どうでもいいのだが、上に並ぶアイコンと、その下の数字欄が揃っていないのはどういう理由なのだか

Photo32:負荷状態をリアルタイムで表示できるのは面白いが、電力が0%というのはどういう意味なのだろう?

Photo33:調子にのってこのまま適用を押したら帰ってこなくなりました。無茶は厳禁

テスト環境

さて、それではテストの紹介に移りたい。表1が今回のテスト環境である。以前まではX79プラットフォーム+Windows 8を使っていたが、今回Haswell+Windows 7 SP1に環境を戻させていただいた。またメモリは今回からDDR-1866 16GBを利用している。

■表1
CPU Intel Core i7-4770K
M/B Intel DZ87KLT-75K
BIOS KLZ8711H.86A.0334
Driver Inf Driver 9.4.0.1017
Memory XMP-1866 CL10 16GB(Corsair VENGEANCE CMZ16GX3M2A1866C10 8GB×2)
Graphics SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5 AMD RADEON R9 290X Reference ZOTAC ZTGTX770-2GD5R01 INNO3D N780-1DDN-L5H5
Driver(GPU) Catalyst 13.9 Catalyst 13.11 βV5 GeForce Driver 327.23 WHQL
HDD Intel SSD 520 128GB+HGST HDP725050GLA360 500GB(NTFS)
OS Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版+SP1

比較対象だが、さすがにGeForce GTX TITANは(他のメディアも同じタイミングでやはりR9 290Xの比較をしている関係だろうが)払底していて入手できなかったので、今回はGeForce GTX 780との比較をメインとさせていただいた。

まぁAMDは価格的にも性能的にもGeForce GTX 780が競合と位置づけているようなので、これはこれで構わないかと思う。製品としてはinno3DのGeForce GTX 780 Referenceを利用した。GTX 770とRadeon HD 7970はいずれも筆者の手持ちで、微妙にスペックが定格ではないとか古いとかだが、そのあたりはご容赦いただきたい。

またRadeon R9 290XのBIOS設定だが、今回はQuiet Modeで通させていただいた。これはそもそもUber Modeにしても大して性能が上がらない割りに確実にうるさくなったからであるが、もう一つ理由がある。正直言えばUber Modeは言ってみれば軽いオーバークロック動作な訳で、条件を合わせるためにはGeForce GTX 780の方もオーバークロック動作を考えないと公平ではない。

実際市場に出ているGeForce GTX 780はほとんどがオーバークロック動作のもので、リファレンススペックのものを入手するのはかなり苦労したほどだ。これはおそらくR9 290Xでも同じことになると思うが、今回はそうした個別の製品の性能ではなく、あくまでリファレンス同士の比較を行いたかったので、あえてQuiet Modeのままとしている。

テスト結果

さて、それでは実際にテスト結果をみていきたい。ちなみにそれぞれのグラフにおける表記であるが

  • SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5 : HD 7970
  • AMD Radeon R9 290X Reference : R9 290X
  • ZOTAC ZTGTX770-2GD5R01 : GTX 770
  • INNO3D N780-1DDN-L5H5 : GTX 780

とさせていただいている。

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