考察

ということで、もっぱら性能面に関して幾つかテストを行ってきた。一言でまとめれば「Radeon HD 7970は間違いなく現時点では最速のグラフィックスカード」となるだろう。GeForce GTX 590とかRadeon HD 6990の様なマルチGPU構成の場合、特に低解像度ではむしろオーバーヘッドが大きいといった問題もあるし、消費電力は間違いなく増える。そうした事を加味すると、最速というのはそう間違ってはいないだろう。

実際、対Radeon HD 6970では結構明確に差があるし、対GeForce GTX 580でも殆どのケースでこちらがより高い性能を示している。おまけに28nmプロセスのお陰か消費電力の増加も最小で、待機時はむしろ省電力化が進んでいるから申し分ない。

もっとも最速の称号がいつまで維持できるか? というのはNVIDIAの次期製品次第ということになる。FermiベースからKeplerベースにアーキテクチャを一新し、同じくTSMCの28nm HKMGプロセスで製造される次期製品に対してどこまでアドバンテージがあるのか、は現状よく判らない。

もう一つ懸念があるとすれば、実際の製品の出荷動向だろう。これはAMD/NVIDIAのみならずTSMCの28nm HKMGプロセスを使う全てのベンダーに共通する話であるが、なかなか上がらないYieldをどう改善するのかが出荷の状況を左右するだけに、ちょっと気がかりではある。性能面での実証は今回済んだ。今後は製品の出荷状況が注視されることになるだろう。