運転手さんも絶賛する「焼肉道場ローヤル」の「極上SA飛騨牛トロ・ロース」

シビアで観察眼のするどいタクシー運転手たちは、雑誌広告のオススメ飲食店情報に決してだまされない。観光客からの求めに応じて、ちょっとした観光ガイドも兼ねる彼ら。口コミ評価の高い飲食店を食べ歩きして、情報収集する運転手さんも多いとか。今回は東海地方の中でも、岐阜、静岡、名古屋で活躍する地元タクシー運転手さんへ突撃取材。

名古屋のタクシードライバーのオススメ「ガーデンレストラン徳川園」

名古屋随一の味とすすめるK氏

「徳川園の敷地内にあるガーデンレストラン徳川園。ここには美術館、庭園、おみやげショッピング、カフェ&バー、西欧料理レストランとすべてがそろっています。平日に、シニア世代のご夫婦をよくお連れしますよ」(愛知県/名鉄タクシードライバー・K氏)

徳川御三家筆頭の尾張徳川家、その第二代藩主である光友の隠居所だった「大曽根屋敷」を、日本庭園として公開しているのが徳川園だ。その中にタクシー運転手さんオススメのフレンチがある。

徳川園内にある「ガーデンレストラン徳川園」は、この幽玄な池泉回遊式の庭園を一望できるスポットとして、名古屋セレブの間で人気が高い。運営するzettonグループは今でこそ本社機能を東京に移したが、ナゴヤ飲食業界の雄として名古屋の業界で知らぬ者はいないリーディングカンパニーだ。この2者のコラボレーションとはがぜん、期待が高まるではないか!

石造りの通路を渡り、エントランスをくぐると「いらっしゃいませ」というスタッフのにこやかな声が響く。レストランの窓越しに日本庭園を望むロケーションの何と雄大なこと。龍仙湖(りゅうせんこ)と名付けられた涼しげな大池が目に飛び込む。昼は昼の、夜は夜の趣があり、飽きさせない。

水辺の通路を抜けたところにあるガーデンレストラン徳川園

テーブルはゆったりと配され、木をふんだんに使った和の趣の中に、じゅうたんやシャンデリアなどが洋のエッセンスを醸している。ランチタイムは女性客がほとんどだそうで「ご予約していただいた方がよいと思います」と、ダイニングマネジャーの滝塚一広さん。さすがセレブ御用達の人気店だ。

料理のコンセプトは伝統的なフレンチをベースに、現代風のセンスを融合させた「ネオ・クラシック」。歴史と品格の徳川園ならではの味わいといえる。ランチは2カ月に1回、ディナーは季節ごとに内容を変えている。地産地消よろしく季節感に満ちた地元産の食材やフランスをはじめとした、世界の厳選食材を使用している。そんな秋メニューの中から、特にオススメという2品を紹介しよう。

1品目は「フランス・シャラン産のヴィルゴー家のカモのロティ・大根のラグー・レギューム・ミニャルディとトリュフのエッセンス」。メニュー名にはいろいろな食材が登場するが、この一品の主役は、フランスでも最上級とされるヴィルゴー家のカモだ。この高級カモを、大胆にも厚切りにしてソテーしている。濃厚なカモの風味が脳の隅々にまで広がり、心がとろけるようだ。素材が素晴らしいのはもちろんのこと、トリュフの香りをきかせた芳醇(ほうじゅん)なソースが洗練された味わいを引き立たせている。赤ワインとともに幸せな時間を過ごそう。

鴨肉と赤ワインの相性は抜群!

2品目は「フランス産エスカルゴと帆立て貝・モリーユ茸のポトフをイメージして・秋野菜の彩り」。この一品は、地元の契約農家で収穫された新鮮な秋野菜が主役といえる。ポトフ風に野菜をたっぷり使い、エスカルゴと帆立て貝の海産物が素晴らしいダシを提供。高級食材のフランス産モリーユ茸(網笠茸)のコリコリとした食感も楽しい。昨今のヘルシー志向を反映して、オイルやバターは控えめに。帆立て貝のダシを泡状にして乳化させることでコクを補い(エミュルジョン)、素材と絡みやすくさせるなど、繊細な技法が料理の味わいをワンランク引き上げている。

食感と風味の虜になる絶妙の味付け

総料理長の中村昌之さん

総料理長の中村昌之さんは、マキシム・ド・パリ名古屋店の総料理長を務めたこともあり、その技能は折り紙付き。素晴らしいロケーションの中、最高の料理に舌鼓を打てる至福の時間に酔いしれようではないか。なお、ワインは300種類がそろっているので、必ずやベストマッチの1本が見つかるはずだ。

●infomation
<ガーデンレストラン徳川園>
愛知県名古屋市東区徳川町1001番地
営業時間
レストラン 11:00~14:00、17:00~22:00
カフェ&バー蘇山荘 10:00~23:30


静岡・御殿場タクシーの運転手たちオススメのそば屋「艸季庵(そうきあん)」

「これぞ隠れ家中の隠れ家」とT氏

「静岡・御殿場エリアでは、そばが有名。いくつもそばそば屋がありますが、長時間待ちにも関わらず客足が途絶えることのないのが、この艸季庵(そうきあん)。私も時々、ひとり車を飛ばして食べに行きます」(静岡県/御殿場タクシードライバー・T氏)

「ひきたて・打ちたて・ゆでたて」。そばはこの「三たて」が重要だというのが常識だ。その例えを引き合いに出すのなら、富士山の湧き水を毎朝くみに行くという艸季庵は、「くみたて」を加えた「四たて」の店といえる。

「そば粉の半分は水です。富士山の湧き水を使うことで、そば本来のみずみずしい味と香りが引き立つんです」という、店主の横山誠さん。長らくうどん店を営んできたが、そばの魅力に目覚めて一茶庵(伊東市)や無庵(立川市)などの名店で修行。平成16年に生まれ育ったここ御殿場で、艸季庵をオープンさせた。古民家を改装した瀟洒(しょうしゃ)な店構えは、庭の緑がよく映える。ランチタイムは行列ができるほどだが、夜は「ゆったりとそばを楽しんでほしい」と、予約制となっている。

山間の民家のような店構え

店に入るとまず出てくるのは、お茶ではなく"そば湯"だ。その濃厚さと強いそばの香りに、強烈な期待感を抱かずにはいられない。ちなみに器にもこだわっており、センスを感じさせる。人気はやはり、そば本来の味を満喫できる「せいろ」だそうだ。細口に切られた一九そばは、透き通った白さの中に微細な粒が見える。聞けば、ひいたそばをふるいにかけて粗びきと甘皮、微粉の3つに分け、細心の注意で配合してそば粉を仕立てているのだとか。

ひと箸たぐって啜(すす)る。いかにもゆでたてのエッジのきいたそばは、なめらかさだけではない素材感のある喉越しが絶妙。そばつゆは枕崎産(鹿児島県)の本ガツオの枯節(かれぶし)を使用。シャープさと奥深いコクがそばの味わいを引き立てている。

店オリジナルの「しぼりせいろ」も試してみた。辛味大根の汁に信州みそを付けていただく。刺激的な大根汁とまろやかなみその風味はまさに大人の味わい。一食の価値ありだ。ほかにカモ南そばなど、温かいそばもラインアップされているので、寒い季節にはぜひ食していただきたい。

コシのあるそばは手打ちならでは

そばに大満足し、さぁ、帰るかしたものの、艸季庵にはもう一つの楽しみがある。それはデザートだ。それもそばを使ったスイーツとくれば、食べないわけにはいかない。という訳で、「そばあんみつ」をオーダーした。出てきたそれは、そばアイスにそばフィナンシェ、そば寒天、季節のフルーツに黒蜜とボリュームも満点。そばのかぐわしい香りとやさしい甘さがマッチして、おなかいっぱいでも不思議と食べられる。とにかく仕事が丁寧。ランチタイムは待たされるが、それでも行く価値は大という店だ。

そばの香りに誘われてしまうスイーツ

●infomation <艸季庵(そうきあん)>
静岡県御殿場市杉名沢306-1
営業時間
11:30~15:00(L.O.14:30、土日祝は~15:30(L.O.15:00))
18:00~20:30(L.O.19:30、当日17:00頃までに要予約)
定休日 月曜日(祝日は営業、翌平日休み)

岐阜のタクシードライバーのオススメは「養老焼き肉街道 焼き肉道場ローヤル」

「旅先で腹が減ったら焼肉」とすすめるA氏

「養老焼肉街道って、聞いたことある? ここ10年くらいでしょうか。焼き肉のうまい店の集中しているエリアが、岐阜県にはあるんです」(岐阜県/個人タクシードライバーA氏)

岐阜県の西美濃(みの)エリアに位置する養老町(ようろうちょう)。「養老の滝」の伝説で知られるこの街で、もう一つ忘れてはならないのは焼き肉店の密度がやたら高いことだ。中でも岐阜県道56号南濃関ヶ原線は通称「養老焼肉街道」と呼ばれ、名うての店がしのぎを削る激戦区である。県外からも多くの人が集うこの焼肉街道。今回は、その中の1店「焼肉道場ローヤル」で、自慢の肉を味わってみた。

オレンジ色の大きな看板が目印

ご当地ブランドの飛騨牛、泣く子も黙る松阪牛の2大巨頭をメーンに、厳選された品質の国産牛・特選牛・黒毛和牛をそろえる。ちなみに松阪牛を扱う店は、焼肉街道でも数少ないそうだ。牛を1頭買いするので、あらゆる部位が手に入ることも特徴だという。

今回はオススメの3品を用意していただいた。そのどれもが、尋常じゃないサシの入り具合。素人目でも「こりゃ上等な肉だ」と、よ~~く分かる!

まずは「A特上霜降りカルビ」をいただく。厳選牛のバラ肉で、あらかじめタレに漬け込んである。炭火焼のロースターで軽く炙(あぶ)ると、肉の焼けるたまらない香りが鼻孔をくすぐる。思わず、「うぉぉ!」と、声にならない声がでるほど。ジューシーな肉汁が口の中でしたたり、1口目にしてもう降参だ。5~6切れで1,029円と、「ホントにいいの?」というお値段なのだ。

「A特上霜降りカルビ」は1人前1,000円ちょっとは超お得!

次に控えるは「大トロみすじのあみ焼」。1頭から3キロしか取れない希少部位だという。葉っぱのようなカタチが特徴で、これも見事な霜降りだ。「素材の味を満喫して」と、ここは店自慢のユズ塩でいただく。うわ、濃厚なお味なことで……でも後口がいい。塩で正解だ。お値段は1,659円……うむ、納得。

独特の食感がたまらない「大トロみすじのあみ焼」

そして最後はついにキタ~! 「極上SA飛騨牛トロ・ロース」だ。マグロのトロを思わせる最高級の一品。口の中でとろけてしまう。ここまでくると、もう脳が思考停止状態。3,307円とさすがに値が張るけど、1.5人前あり、ボリューム感も大満足。ここ一番の時には奮発したい、リーサルウェポン的存在だ。

タレは自慢のオリジナルで、肉の味を引き出す少々甘目の仕上げ。そのほか、ユズ塩やポン酢、わさび、韓国風のピリ辛、そしてみそダレなどでも味わうことができる。「肉はすぐ焼けます。一気に焼いて焦がさないよう、ゆっくり落ち着いて焼いてくださいね」と、丹羽さん。もう心が浮世に行っちゃって、俗世間に戻れなくなりそうだ。

●infomation
<焼き肉道場ローヤル養老本店>
岐阜県養老郡養老町五日市 1008-1
営業時間
11:30~14:30(L.O.14:00、土日祝のみ)
16:15~PM10:30(L.O.21:45)
定休日 毎週火曜日

【関連リンク】

【レポート】地元タクシー運転手に聞く、岩手県盛岡市の安くてうまいB級グルメ

【コラム】口コミで知る全国のご当地グルメ (11) 飛騨の肉と甘酸っぱいフルーツトマトが一つの丼に! 下呂の「トマト丼」

【レポート】愛知県のジャンボエビフライには、大人の夢がつまっている!

【特集】ワイナリーを巡る、かぐわしき果実酒探しの旅in甲信越・北陸

これは太い!愛知の名古屋名物「きしめん」の極太麺をすすってきた!