『Fate/Zero』の映像制作を支えるufotableの新進気鋭スタッフを7つのカテゴリーから紹介。今回は「動画検査」のお二人に話を聞きました。

はじめまして、鬼澤佳代さん・亀谷佳須美さん

――まずは、自己紹介をお願いいたします
鬼澤:『『Fate/Zero』で「動画検査」を担当しています鬼澤佳代(写真右)です。ufotableに入社したのは2009年4月入社で、原画チームのインタビューに登場した藤崎静香さん&山崎美紀さんと同期入社になります。
亀谷:同じく『Fate/Zero』で「動画検査」を担当しています亀谷佳須美(写真左)です。私は2010年4月入社です。

動画検査:鬼澤佳代さん・亀谷佳須美さん

――お二人はどういった経緯でufotableに入ることになったのですか?
鬼澤:私はアニメの専門学校に通っていた時にufotableが会社説明会に来てくれて、その時会社の事を知りました。その説明会で「私の好きな『テイルズシリーズ』を作っている会社なんだ!」と知って、それがきっかけで応募しました。原画の藤崎さん・山崎さんが話していた入社試験を私も受けて、私は「日常系芝居」の方を描きました。指定された最低枚数が4枚のところ、私は焦ってギリギリの5枚しか描けなくて、他の人が10枚くらい描いてるのを見てがくぜんとしましたね。

亀谷:私は先輩より1年後に入社したんですが、その前に別のアニメ会社で働いていたんです。その時私も『テイルズシリーズ』が好きで「『テイルズシリーズ』に関わる仕事がしたい!」と思い、ufotableに連絡をして面接をしていただきました。その面接時に、自分の画を何枚か入れたファイルを持って行ったんですが、その時に近藤社長に結構ダメ出しをされて、正直落ちたかなと思っていたんです。だから、その数日後に合格の返事が来た時は本当にうれしかったですね。

「動画検査」でキャラクターの動きが完成する

――アニメにおける「動画検査」というのは、具体的にどんな仕事なのでしょうか?
鬼澤:仮に椅子から立つシーンがあったとして、座っている「原画」と立ち上がった「原画」の間の一連の動きを「動画」で描くとします。滑らかな動きを作るためには動画枚数はどうしても多くなるので、例えば「あ、ボタン描き忘れてる」とか「前後の動きと違う動画が1枚ある」といったミスが出やすい作業なんです。そういったものを1枚1枚チェックしていくのが「動画検査」です。動画さんが描いたものを取りまとめて、チェックして、間違っていたら描き直してもらったり、自分で描き直したりする事もあります。

亀谷:あとは、各カットの制作は、原画さんが描いた「原画」と「原画」の間を動画さんが描いた「動画」で動きをつなげていくという、違う人が一つのものを作る作業なので、「「原画」と「動画」の画のニュアンスが違っていないか」とか「原画さんが指示した演技(キャラクターの表情や動き)をちゃんとしているか」というチェックもします。

鬼澤:単純に言えば「ちゃんと動いているかどうか」のチェックですね。どう判断していいか悩んだ時には、演出さんに直接聞きに行ったりもしています。

亀谷:あと「線がちゃんとつながっているか」のチェックも大事ですね。動画検査が終わった後に仕上げさんが色を塗る作業に入るんですが、ちゃんと線がつながっていないと、仕上げさんが線をつなげる作業をしなくてはいけなくなるので、その作業を少しでも減らせるようにチェックしています。

――「動画検査」というのは、動画マンが必ず通る道なんでしょうか? それとも、動画マンの中から、誰かが任命されてなるものなんでしょうか?
鬼澤:だいたい、先代の動画検査担当だった人が原画に上がる際に、その時に教えている動画マンの中から「この人向いてるな」という人を指名するという感じの流れですね。ラッシュと呼ばれる映像チェックの時は監督などのメインスタッフが集まるので、その中で物怖(お)じせず「ここおかしいです」って指摘できる冷静さと、その中でちゃんと話せるコミュニケーション能力を持っていそうな人が選ばれているんだと思います。

亀谷:私、ちゃんと出来てますかね?
鬼澤:大丈夫! 亀ちゃんは出来てるから安心して!