I-Cache Latency(グラフ49~56)

D-Cacheの特性を見たので、今度はI-Cacheの方を。まずグラフ49~52がNear Jumpの場合の結果である。まずForward(グラフ49)では、Phenom IIとほぼ同一のLatencyで、しかもL3もちゃんと効果的に働いている。というか、AMD FXのL3領域における50Cycle弱というLatencyそのものは、先にグラフ29で見たD-CacheのLatencyと大差ない。差が出るのはL3 Missする10MB以上の領域で、こちらはMemory Accessになる。要するに命令 Decodeに関してはData Fetchの場合よりMemory AccessのLatencyが増える、ということだろう。Core i7に比べるとまだ大きいが、Phenom IIよりは高速に動作していることが判る。ただBackward(グラフ50)とかではMemory Accessも悪化しており、一概にMemory Controllerをほめるわけにもいかない。Random/Pseudo-Random(グラフ51・52)に関してはまぁ無難な線というスコアで、Core i7には及ばないにしてもPhenom IIよりは改善されている。

こうした傾向はFar Jump(グラフ53~56)にも引き継がれている。概ね同等の傾向にはあるのだが、妙なのはグラフ54と56で見られる、17MB付近の妙なスパイク。こうしたものが突発的に見られるあたりが、現状のAMD FXのインプリメントの不十分さを物語っている気がする。