これまでずっと話題に上っていたIntelの次世代CPU「Sandy Bridge」が、ついにその姿を現す。大方の予想では、米Las Vegasでまもなく開幕するCES 2011の会場で、Sandy BridgeことCore i3/5/7-2000シリーズ・プロセッサと、Intel 6シリーズ・チップセットが発表されると見られている。今回は折りよく評価機を入手できたので、早速その性能を確認してみたい。

ラインナップ確認

まずは今回発表される製品の情報をまとめておきたい。といってもDesktop/Mobileをあわせると膨大な数となるので、とりあえず話はDesktop向けに限らせていただく。まず表1がCPUのラインナップである。表のうち、薄緑色のものはLow Power/Lifestyle向け(要するに薄型PCなど、SFF向け)の扱いであり、現時点では価格が判明していない。恐らくは登場もやや遅れる事になるのだろう。また今回の一覧には掲載されていないが、Intelの説明資料の中にはこんな資料(Photo01)もあり、現在のPentium DualCoreの後継製品もSandy Bridgeベースで登場するのは間違いないと思われる。

表1

Photo01: これは内蔵GPUの機能に関するものだが、少なくともここにあるPentiumもSandy Bridge世代のものと思われる。しかしAVXを無効にする意味がよくわからない。

さて、これに対応するチップセットだが、Desktop向けでは表2の4種類となる。P67が唯一のDiscrete Graphic専用チップセットとなり、後は全てSandy BridgeのGPU出力を利用できるようになっている。今回、Core i7のExtreme Editionに相当するモデル(と、これに対応したX58の後継モデル)は発表されず、従ってP67が事実上このExtreme Edition+X58の後継となる形になり、それを意識してかPerformance Tuningの機能なども搭載されているのが目を惹くところだ。ちなみにUSB 3.0のコントローラはやはり内蔵されず、このためルネサスエレクトロニクスのUSB 3.0コントローラをPCIeで接続するというパターンが標準化しつつある感じである(Photo02,03)。

表2

Photo02: P67の構成図。機能的にはDMIが高速化した分、PCIe x1レーンが増え(流石に今度こそ正しいGen2となった)、かつ最大2ポートのSATA 6Gポートが搭載された(SATA 3Gポートとの合計は最大6ポート)のがP55との大きな違いといったところ。

Photo03: H67も基本はP67と同じ。FDIが追加されているのと、PCIe x16レーンを2×PCIe x8レーンに出来ないのが大きな違い。

ところでSandy BridgeではパッケージがLGA1155に変更された(Photo04,05)。ご覧のとおり機械的形状は全く異なるのでマザーボードに互換性はないのだが、Intelによれば(Validationの問題は別途あるとはいえ)電気的には両者に互換性があるそうだ。Sandy BridgeではDMIが5GHzに高速化されたDMI 2.0に変わったのだが、このDMI 2.0は5GT/sの他(省電力の目的で)ダイナミックに2.5GT/s(や、停止)に速度を変更する機能があり、もしIntel 6チップセットに旧来のNehalem/Westmere世代のCPUを接続した場合、Intel 6シリーズチップセットは2.5GT/sで動作するそうだ。逆にSandy Bridgeを旧来のIntel 5シリーズチップセットに接続することも可能で、この場合もやはり2.5GT/sで動作するそうである。とはいえ、最初に述べたとおり機械的な互換性はないし、チップセットはともかくとしてVRMも異なっているので、現実問題として例えば両対応のマザーボードを作るというのは(ソケット2つとVRMが2つ搭載されるお化けになってしまい)あまり意味がないようだ。

Photo04: たまたま手元にあったPentium G6950(左)とCore i5-2500K(右)を並べてみた図。ヒートスプレッダの形状が大分異なるほか、誤挿入防止の切欠の位置も異なっているのが判る。

Photo05: 裏面。Dual DieのPentium G6950(左)はCPUダイ(上側)とGPUダイ(下側)でコンデンサの配置が大分ことなっている。対してCore i5-2500K(右側)はほぼまんべんなくコンデンサが配されている。

ついでにCPUパッケージもご紹介しておく(Photo06)。基本的にはこのサイズのパッケージがメインということらしい。これに付属するのは薄型のおなじみのクーラーであった(Photo07)。CPUパッケージは異なるがCPUクーラーに関してはLGA1156世代と同一の様で、実際今回もサードパーティ品のLGA1156用クーラーがそのまま利用できた。これとは別にXTS100Hも用意されているようで(Photo08~10)、今回Core i7-2600Kのテストにはこちらを利用した。

Photo06/Photo07: 65W以下はこのクーラーが付属するようだ。筆者手持ちのPentium G6950の付属クーラーと全く同一に見える。ただTurboを多用するような環境ではちょっと能力不足な感じもする。

Photo08: こちらはさすがにかなりの大きさである。従来この製品は単体で発売されていたもので、今回もそうした形で併売されるのかもしれない。

Photo09: 以前テストしたDBX-Bとはバックプレートや構造などが異なっており、こちらはLGA1155/1156用である。

Photo10: マザーボードに取り付けてみた図。おそらくこんな感じでケースのバックパネルに排気を吹き付ける形に装着するのが正しいと思われる。それなりにデカいが、ぎりぎりDIMMスロットに干渉しないし、ケースに収まらないほど背が高いわけでもなく、静粛性もそれなりに高い。

次にマザーボードである。今回Intelは、Intel 6シリーズ世代に対応した製品を14種類もラインナップした。表3に主要な特徴をまとめたが、まぁよくもこんなにラインナップしたというべきか。今回試用したのは、ハイエンドのDP67BG(Photo11~30)と、メインストリーム向けと思われるDH67BL(Photo31~42)である。各々の特徴はキャプションをご覧頂くとして、やはりP67は明らかに事実上のX58の後継機種という扱いであることが強く感じられる構成であった。

表3

Photo11: 開発コード名はBurrage。ATXのバランスの取れた構成。PCIe x16スロットは2本なので、本当のエンスージャスト向けという訳ではないが(最近は真のエンスージャスト向けにはPCIe x16が4スロット以上ないとダメらしい)、これでもSLIやCrossFireは問題なく構成できるから、普通に考えれば十分トップエンド。SATAのコネクタが横向きになっているとか、DIMMスロットやP67のヒートシンクがビデオカードと干渉しないようになっているあたりもそれっぽい。

Photo12: 裏面も。右下にSkullのLED配置が伺える。

Photo13: ビデオ出力を持たない分、USBポートが8+2(一番右の2段積みがUSB 3.0)。IEEE1394+USB×2コネクタとUSB×4コネクタの間にあるのが、BIOS Setupのスイッチ。これを押すとメンテナンスモードでBIOSが立ち上がる。

Photo14: LGA1155ソケットに収まるCore i7-2600K。CPUへの電源供給は6相になっている。

Photo15: おなじみのSkull。HDDアクセスなどにあわせて点滅するのはDX58SOなどに同じ。Skullの左にあるのはIDTのPCIe/PCI Bridge

Photo16: 基板の下側にはPOSTの状態を表示するLEDが用意される。これの付き方で、どこまでPOSTが進んだか(=ブートしない場合、どこで躓いたか)が判る。

Photo17: メモリスロットの脇には更に2桁の7セグLED、及びPower/Resetスイッチまで搭載される。明らかに「ケースに入れずに平置きで使う」用途むけ。

Photo18: 2本のPCIe x16スロットの間にはPericomの2ch PCIeスイッチが配される。これで1×PCIe x16とするか、2×PCIe x8とするかを切り替える形。

Photo19: PCIe/PCIスロットの脇には周辺機器が。左からルネサスエレクトロニクスのUSB 3.0コントローラ。中央がRealtekの10ch HD-Audio Codec(どうも汎用品ではないようで、Realtekの製品紹介を見ても掲載されていない)、TIの2ポートIEEE1394aコントローラとなっている。

Photo20: 光ってしまって見えにくいが、Intelの82579V(GbE PHY)。

Photo21: バックパネルのeSATAポートの裏には、Marvellの88SE6111が配される。

Photo22: 電源制御はCHiL SemiconductorのCHL8326が配される。

Photo23: BIOS Setupより。ちなみにこれは開梱直後の状態で、この後BIOS Updateを掛けている。

Photo24: こちらも同様(テストはBIOS Revision 1780で行った)。この状態ではまだメモリがDDR3-1333と認識される。

Photo25: Performance Setupの画面。Sandy Bridgeでは、CPU動作周波数のベースクロックが100MHzになった。やはりTurboできめ細かな制御をしようとすると、133MHzベースではやや大きすぎるのかもしれない。

Photo26: Burst Modeでは最大120WのTDPが許されていることに注意。ベースクロックは(Core i7-2600Kなので)34倍の3.4GHzで、Turboではそこから4段階Upとなる。

Photo27: メモリ設定。AutomaticだとDDR3-1333が定格となる。

Photo28: ただしXMPのプロファイルを利用可能で、今回の場合CrucialのBallistiXのDDR3-1600 CL8設定がそのまま利用できた。

Photo29: 今回新規に追加されたConfiguration画面。

Photo30: こっち見んな。

Photo31: DH67BL。コード名はBearup Lake。CPUソケットを取り囲むように3方向に電源回路が配されるのはちょっと珍しい。1×PCIe x16、2×PCIe x1、1×PCIということで、MicroATXとしてはまずまずの拡張性。

Photo32: 裏面はこんな感じ。DDR3への信号部がきっちりシールドされているあたりが特徴的。

Photo33: こちらはHDMIとDVI-D/Iの出力を装備する。

Photo34: CPUソケットに収まるCore i5-2500K。

Photo35: USB 3.0ポートの裏にルネサスエレクトロニクスのUSB 3.0コントローラが。

Photo36: PCIバスの脇にはやはりRealtekの10ch HDA Codecが。脇にはIEEE1394のポートの空きパターンが。恐らくDQ67SWあたりと基板が共通なのだろう。

Photo37: 搭載するGbE PHYはDP67BGと同じくIntelの82579V。

Photo38: 電源コントローラは1グレード落ちて、同じくCHiL SemiconductorのCHL8104が搭載されていた。

Photo39: System Info。こちらもBIOSはこの後アップデートしている。Photo21ではUUIDがブランクだったが、こちらにはなぜかUUIDも入っていた。

Photo40: Main画面。BIOSはこのあとRevision 0082にアップデートした。

Photo41: Performance設定。Burst ModeのPower Limitが微妙に2Wほど下がっているのが面白い。

Photo42: DH67BLはDDR3-1600設定を持っておらず、このため定格のDDR3-1333 CL9設定で利用。