ベンチマーク結果

では何時もの様にベンチマーク結果を示して行きたい。今回は(テスト環境にもあったように)Core i7-975 Extreme Editionとの比較とさせていただいた。また、Windows 7環境になってからはHyper-Threadingを有効にしても性能が上がることが確認されたCore i7だが、6コア12スレッドでも使いきれるかどうかは確認の必要があるだろうということで、Hyper-Threadinの有効/無効も同時に確認した。そういう訳でグラフの表記は

975X Core i7-975 Extreme Edition : Hyper-Threading 有効
975X(noHT) Core i7-975 Extreme Edition : Hyper-Threading 無効
980X Core i7-980X Extreme Edition : Hyper-Threading 有効
980X(noHT) Core i7-980X Extreme Edition : Hyper-Threading 無効

となっている。

なお各ベンチマークについては、32bit/64bitバイナリの両方が用意されているものは64biを、そうでないものは32bitをそれぞれ使って実施している。

Sandra 2010 Engineer Edition(グラフ1~10)

SiSoftware
http://www.sisoftware.co.uk/

ということで基本のSandraから。グラフ1がDhrystone、グラフ2がWhetstoneで、これはほぼセオリー通りの結果といえる。どのテスト結果も、ほぼCore i7-980XがCore i7-975を50%ほど上回っており、コアの数がそのまま反映された形だ。グラフ3のProcessor Multimediaもほぼ同じ傾向を示している。逆に大きく差が出るのはグラフ4のCryptograpyuで、特にAESのEncryption/Decryptionが10倍以上の開きを見せているが、これはWestmereで搭載されたAES-NIの効果である。

逆に全く差がみられないのが、例えばグラフ5である。実は今回Video関連では、このVideo Rendering以外にVideo Memory Bandwidth/GPGPU Processing/GPGPU Memory Bandwidthの各テストも実施したのだが、いずれの場合も差は1%未満で、しかも有意な差は見られなかった。まぁ同じグラフィックスカードと同じドライバを、同じマザーボード上で動かしているのだから当然とも言えるのだが、要するにGPGPUの性能とかVideoの性能という観点では、Core i7-975ですらもう性能が余るほどで、これをCore i7-980Xにしても何の差も無いということが示された形だ。

グラフ6はおなじみMulti-Core Efficiencyだが、Hyper-Threadingを有効にすると、同じコアの2つのThread同士で通信をしてしまうので全然テストにならない、という事が今回も示された形だ。とはいえ、Hyper-ThreadingをDisableにした場合でもレイテンシは50ns未満、Bandwidthは16GB/sec以上だから、なかなか健闘していることは事実だ。これはグラフ7でより判りやすい。データサイズは、64×128Kのみ8MBとなり、6Threadが同時にアクセスするとL3からはみ出すためにやや遅くなるが、それ以外はL3に収まる範囲だから、ほぼ一直線なグラフになっていることが判る。ただ975X(noHT)と980X(noHT)を比較した場合、やや980Xのスコアが落ちているのが判るだろうか。

これは、システム全体で見てしまうとあまり良く判らない。グラフ8を見る限り、メモリアクセスに入る手前の4MBあたりまでの結果で見れば、(Thread数が多いから当然ともいえるが)Core i7-980XがCore i7-975を圧倒している。ところが、1ThreadあたりのLatencyを確認してみると、Linear Access(グラフ9)/Random Access(グラフ10)共に変化が見られる。どちらのケースでも、L1(~16KB)やL2(~256KB)では殆ど差が見られないが、L3のアクセスでは明確にCore i7-980XのLatencyが増している事が見て取れる。このあたりに、多少の性能の変動がありそうだ。