Internet Explorer 8のセットアップ

ご存じのとおりInternet Explorer 8は、日本時間の2009年3月20日にリリースされた最新のInternet Explorerである。Windows XPの時代には既にWindows OSと歩調を合わせず、独自のタイミングで開発が進められ、新たに登場するWindows OSには、その時点で最新版のInternet Explorerが搭載されるようになった。

Windows 7に搭載されたInternet Explorer 8は、「検索候補」「アクセラレータ」「Webスライス」「互換表示」「SmartScreen」といった新機能に加え、セキュリティの強化が施されている。個別に解説していくと冗長になってしまうが、まずはInternet Explorer 8起動時にうながされるセットアップから解説していこう。このセットアップは後述するInternet Explorer 8から用意された各機能の有無を選択するもので、<後で確認する>をクリックすると、一定起動回数や一定期間を経て再度セットアップがうながされる。手動でセットアップウィザードを呼び出す項目も用意されていないため、急ぎでない場合は始めに設定しておこう。なお、Webサイトアクセス時にマルウェアやフィッシング詐欺サイトの被害を事前に防ぐSmartScreenフィルタ機能だが、Internet Explorer 8をWindows Vistaにインストールした場合、同機能の有無を選択できたが、Windows 7の場合は自動的に有効となる(図481)。

図481: 初回起動時にはセットアップウィザードが起動し、各種設定をうながされる。後で設定する場合は<後で確認する>ボタンをクリックし、ここで設定を行なう場合は<次へ>ボタンをクリック

Mozilla Firefoxなど、ほかのWebブラウザを導入している場合、最初にInternet Explorer 8を既定のWebブラウザにするか選択をうながされる。ここはご自分の使用スタイルにあわせて選択して欲しい。続いては「おすすめサイト」の選択。同機能は過去のアクセス履歴からから類似するWebサイトを表示するという機能。一見するとパフォーマンスダウンが著しく発生しそうだが、Webサイトの履歴情報をMicrosoftに送信し、サーバ側で類似サイトをピックアップするため、オーバーヘッドも微々たるものだ。ただし、Microsoftのプライバシーポリシーは必ず確認して欲しい。同社では個人を特定されないように配慮されているようだが、それでも閲覧情報が外部に送信されることは事実なので、これを好ましく思わない方は同機能を無効にすることをお薦めする(図482~483)。

図482: ほかのWebブラウザが標準設定されている場合、Internet Explorer 8を標準Webブラウザとするか確認をうながされる。<はい><いいえ>のどちらかをクリックして選択してから<次へ>ボタンをクリック

図483: 履歴を元にWebサイトの候補を生成する「おすすめサイト」に関する設定をうながされる。同機能を使う場合は<はい~>にチェックを入れ、<次へ>ボタンをクリック

次は各項目を自動設定するか、ご自分で選ぶかの選択肢が登場。<高速設定を選択する>では、後述する検索プロバイダや検索プロバイダ情報の更新、アクセラレータなどを自動設定し、<カスタム設定を選択する>を選択すると、それらの個別選択が可能になる。ここでは各項目を開設するので後者を選択しているが、面倒な場合は前者を選んでもよい。カスタム設定における最初の選択は「検索プロバイダ」機能。Internet Explorer 7を使っていた方には目新しいものではなく、ウィンドウ右上に鎮座する検索テキストボックスで用いる検索サイトを選択するというもの。また、「検索プロバイダの更新」は検索サイト情報が更新された場合、自動的にダウンロードする設定。特に問題がなければ同機能を有効にしておこう(図484~486)。

図485: ここから先は検索サイトやSmartScreenフィルタなどに関する設定を行なう。初期設定で問題なければ<高速設定を~>をクリックし、個別設定を行なうのであれば<カスタム設定を~>をクリックして、<次へ>ボタンをクリックする

図485: 最初に検索サイトの選択を行なう。初期状態ではBingが選択されてるので、そのままでよければ<現在の~>を、変更する場合は<セットアップ後~>をクリックしてチェックを入れたら<次へ>ボタンをクリック

図486: 検索プロバイダ(検索サイト)の情報を自動受信する機能が備わっているので、同機能を有効にするには<はい~>を、無効にする場合は<いいえ~>をクリックして<次へ>ボタンをクリック

「アクセラレータ」は、Webページ上で任意の文字を選択し、文字列を元に外部プログラムやWebサイトへアクセスするという機能。Microsoft Excelに用意されたスマートタグを連想するとわかりやすいだろう。通常はWebページ閲覧中に、意味がわからない英単語を翻訳する場合、通常は翻訳サイトにアクセスし、英単語をコピー&ペーストした後に翻訳を実行という手順が必要である。だが同機能を用いれば文字を選択し、タグクリックで表示されるメニューから項目を選択するだけで目的の検索結果を得ることが可能だ。操作性が煩雑になってしまう傾向はあるものの、利便性という観点から見れば有益な機能である(図487)。

図487: コンテキストメニューから各機能を呼び出す「アクセラレータ」の設定を行なう。<現在の~>を選択すると高速設定と同じMicrosoft謹製ツールが有効になる。変更する場合は<セットアップ完了後に~>をクリックしてチェックを入れてから<次へ>ボタンをクリックする

「互換設定」は、Internet Explorer 6といった古いWebブラウザ用に最適化されたWebページを、正常に表示する機能だ。具体的には、Internet Explorer 5.xに相当するQuirks(クワークス)モードと、Internet Explorer 7相当の同標準準拠モード、そしてInternet Explorer 8モードの3つが用意されている。各モードは明示的に呼び出すことも可能で、Webサイト管理者ならば、HTML内のX-UA-Compatibleヘッダを使用して各モードを指定することも可能だ。一方ユーザーは、Webサイト管理者の意図を無視し、任意のWebサイトを互換モードで閲覧する設定も行なえる。社内ネットワークに設置されたイントラネットによっては、Internet Explorer 6までしかサポートしていないものもあり、バージョンアップを禁止していた企業も少なくなかった。同機能の実装により、Internet Explorer 8に搭載された新機能の恩恵を受けつつ、社内ネットワークへのアクセス環境も維持できるというシナリオも想定できるだろう(図488)。

図488: Internet Explorer 6など古いWebブラウザ用に作成されたWebページを正しく表示させるのが互換設定。同機能を有効にするには<はい~>をクリックしてチェックを入れたら<完了>ボタンをクリックする。これでセットアップ完了だ

なお、既定の検索プロバイダを選択するダイアログで、<セットアップ後、他の検索プロバイダーを選択できるWebページを表示する>を選択すると、文字どおり設定完了後に検索プロバイダのリストページが表示される。アクセラレータの選択ダイアログでも、<セットアップ完了後、他のアクセラレータを選択できるWebページを表示する>を選択することで、アクセラレータのリストページが表示される(図489~490)。

図489: 先のセットアップウィザードで<セットアップ後~>を選択すると、検索プロバイダのリストページが表示されるので、登録する検索サイトをクリックし、各項目にチェックを入れてから<追加>ボタンをクリック

図490: 先のセットアップウィザードで<セットアップ完了後に~>を選択すると、アクセラレータギャラリーが表示されるので、各カテゴリーから設定するアクセラレータをクリックし、<追加>ボタンをクリック