コンピュータを活用する上で欠かせないのが、スパイウェアによる個人情報の漏洩や、システムを破壊するウイルスといった、ユーザーに被害を及ぼすMalware(マルウェア)対策。Windows XPが登場した数年前は、セキュリティに対する意識は今ほど高まっておらず、セキュリティ対策を講じなかったコンピュータを苗床として、マルウェアが世界レベルで蔓延したことも記憶に新しい。

この対策としてWindows Vistaには、2004年にGiant Company Softwareを買収し、同社製品だった「Giant AntiSpyware」を基にスキャンエンジンの一新などを行なった「Windows Defender」を標準搭載した(英語版リリースはWindows Vistaより一カ月早い2006年10月。日本語版はほぼ同日にリリースされた)。

同ツールは、Windows Update経由で定義ファイル(導入済みファイルをマルウェアか否か判断するためのパターンファイル)を更新し、マルウェアが侵入していないか確認を行ない、感染ファイルの削除や隔離を行なうというもの。Windows Vistaに続いてWindows 7でも、Windows Defenderを標準搭載している(図471~472)。

図471: Windows 7でもWinodws Defenderは搭載されている

図472: アクションセンターで確認すると、Winodws Defenderは、スパイウェアと不要なソフトウェア対策に用いられている

Windows OSの機能というよりも、単独のアプリケーションとして販売されていた経緯もあり、Windows 7に搭載されたWindows Defenderに加わった新機能はなく、特に目を見張る箇所はない。加えて、Windows Defenderが対象とするのはスパイウェアのみであり、最大の問題となるウイルスは検査対象に含まれない。これは既存のウイルス対策ベンダーとの兼ね合いや、マルウェア対策に加えて個人向けファイアウォールによる双方向の通信制御やフィッシング詐欺に対する保護などを行なう「Windows Live OneCare」の存在も影響していたのだろう。