フライタイイングも楽しみの1つ

フライフィッシングの楽しみの1つとして掲げられるのが、自分で作ったフライで魚を釣ることだ。フライ自体は1つ300円から600円程度で売られているが、魚に糸を切られて紛失したり、型くずれしてダメになってしまう消耗品なので数が必要になってくる。また、初心者のうちはまわりの木や雑草に引っ掛けてなくしてしまうことも多く、自分で作った方が経済的だ。それになんと言っても、自分で作ったフライに魚がかかったときの喜びは何ものにも代え難い喜びがある。

フライを作ることを「フライタイイング」と呼び、初心者でも簡単に作れる物から、高度な技術が必要な物まで様々だ。最初は簡単な物を作って腕を磨き、徐々に高度な物が巻けるようになると、フライフィッシングの奥の深さを実感できるだろう。タイイングまでやってこそフライフィッシングを楽しむということなのである。

タイイングのための道具。いろいろあって一度に揃えるのは大変なので、少しずつ増やすと良いだろう

フライを作る素材を「マテリアル」と呼ぶ。フライのことを「毛針」と呼ぶことがあるように、基本的には鳥の羽や動物の毛を針に糸で取り付けて作っていく。また、フライパターンによっては化学繊維などを利用するものがあり、マテリアルだけでも100種類は下らない。また、タイイングに必要な道具もたくさんあり、徐々にそれらを集めていくのも楽しみの1つだ。

マテリアルも種類がたくさんある。筆者でもすべて持っている訳ではなく、必要になったときに買い揃えるようにしている

まず、何を作るにしても絶対に必要なのが「タイイングバイス」と呼ばれる針を固定する装置だ。いろいろな種類の物が売っており、値段もまちまちだが、タイイングに影響するのでお店の人と相談してできるだけ質の良い物を選ぶようにしたい。値段的には2万円前後と思っておいてほしい。4000円くらいの安い物もあるが、すぐに挟みにくくなったり、しっかり針をくわえこんでくれなかったりするので、初心者にはお勧めできない。

タイイングに必要なアイテムとして重要なのが「タイイングバイス」だ。できるだけ良質な物を買った方が長く使える

そして、糸を巻くのに必要な「ボビンホルダー」も必須アイテム。これがないと糸を針にうまく巻き付けることができないからだ。価格も700円くらいからあるが、デリケートな糸を扱うので、先が金属の物よりもセラミックの物を使用した方が位置が切れにくくスムースに巻くことができる。

ボビンホルダーも重要なアイテム。スレッドと呼ばれる糸を巻きやすくするための道具だ

最後に糸を縛るのに必要な「ハーフヒッチ」だ。これがないと糸を止めることができない。ヘッドセメントと呼ばれる接着剤をつけるときに使用するニードル(針)と一緒になっているものが便利だ。あとは小型のはさみとヘッドセメントと呼ばれる接着剤が必要だ。

ハーフヒッチは最後に糸を止めるときに使用する。ニードル付きの物が便利で良い

ヘッドセメントは最後に締めた糸が緩まないように固定する接着剤。無くても良いが、フライが弱くなるので持っていた方が良い

タイイング用のはさみ。細くて柔らかい鳥の羽などを切るので、小型で切れ味の良いはさみが理想的。少々高くても良い物を買っておこう

その他、マテリアルを巻くフライ用の釣り針が必要になるが、フライ用の針は#0から#32という単位で大きさが分類され、数字が大きくなるほど針のサイズは小さくなる。また形状もいろいろあるので、フライによって使い分けなくてはならない。一般的な大きさは対象魚によって違うが、標準とされているのが#14から#16くらいの針で、管理釣り場等ではこのサイズを用意しておけばまず大丈夫だ。

以降から、この5つの道具で作れる簡単なフライを紹介していこう。