さて、グラフ80から82が面白い。こちらでは実際の消費電力をプロットする(実線)と共に、そこから直線近似を割り出して一緒に示している(破線)が、ここから、

  • 0コア(つまりCPUコア以外の部分。L3キャッシュやメモリコントローラ、HTLink、それとCPU全体のリークなどに起因するStatic Power)の消費電力が、Phenom IIは概ね36W~37W程度、Phenom 9950は45W程度。
  • 1つのコアあたりのフル稼働時のActive Powerは、Phenom IIが12W(PCMark05)~15W(Dhrystone)。対してPhenom 9950は18.4W(PCMark05)~21W(3DMark Vantage CPU Test 2)であり、ここから概ねPhenom IIはコア1つあたりのActive PowerがPhenom 9950の3分の2程度と考えられる。動作周波数の差(2.6GHz vs 3GHz)を考慮すると、同一周波数におけるActive Powerが40~45%減と考えられる。

の2点を読み取ることが出来る。

ところでグラフ80~82でX軸(つまりコア数)を6までにしてあるのは意図的である。これはIstanbulを考慮しているわけだが、Phenom 9950のままだと5コアの時点で140Wを突破しかねない勢いで、6コアなんぞ夢のまた夢である。ところがPhenom II 940の近似値を見ると、いずれも6コアで120W程度の消費電力と予測される。つまり現状の構成のままコアだけを6コアに増やしても、140WのTDPの枠内に収まると考えられるわけだ。

実際にはトランジスタが増える分、Static Powerはもう少し大きくなると思われるが、これで20W以上上昇するとも考えにくい訳で、Istanbulは6コアでも現在の3GHz程度の動作周波数は問題なく実現できるだろう、と想像できる。