OOoには、OOo BasicやJavaなどのプログラムによって機能を追加できる「拡張機能(Extension)」が充実しつつある。この「拡張機能」は専用のリポジトリサイト「OpenOffice.org repository for Extensions」が用意され、各アプリケーション用のツールやクリップアート集、テンプレート集などが配布されている。

図28 拡張機能のファイルアイコン

ちなみに拡張機能は、専用のリポジトリサイトからダウンロードすると、図28のようなファイルアイコンとなる。Windowsでは、このファイルアイコンをマウスでダブルクリックすることで、拡張機能マネージャーが実行されてインストールできる。

3.0対応の拡張機能には、OOo 3.0の新機能としてぜひ紹介したい先進的なものがある。それが以下の拡張機能だ。いずれもSun Microsystemsが作成したもので、無料で上記リポジトリサイトからダウンロードできる。

特に「PDF Import Extension」は、OOo 3.0がPDF作成ソフトとして俄然注目される存在になると思われるので重要だ。

「PDF Import Extension」で拡張される機能は主に2つある。1つは、既存のPDFファイルを編集可能な状態でインポートする。もう1つは、ハイブリッドPDFというPDFとODFの両方の形式のドキュメントを同時に格納した新しい概念のドキュメントを作成するという機能だ。

PDFファイルのインポートは、すべてDrawに読み込まれる。いくつかのPDFファイルを読み込んで見たところ、ImpressやPowerPointなど、元々スライドのために作成されたPDFファイルは、それほどデザインの崩れもなくインポートできている。

図29 PDFとしてエクスポートする際にオプションとして「ハイブリッドファイルの作成」を選べるようになる

しかし、WriterやWord、またAcrobatなどを用いて、パンフレットや雑誌などを想定して作成されたPDFでは、デザインが崩れる場合がある。これは、複数行の文章がセンテンスごとに分解されるためである。このような場合には、OOo側で修正作業が必要だ。ただ、既存のPDFドキュメントを編集可能な状態で活用できるようになるのは朗報だろう。

ハイブリッドPDFは、Acrobat ReaderなどのPDFビュワーで読み込んだ際はリードオンリーのPDFファイルとして、OOoで読み込んだ際は編集可能なODFファイルとして扱われるという画期的なドキュメント形式だ。この場合は、OOoのデザインは忠実にPDFビュワーでも再現される。「PDF Import Extension」を拡張機能としてインストールしたOOoでは、PDFとしてエクスポートする際に表示されるダイアログボックスで「ハイブリッドファイルの作成」という項目が表示されるようになる(図29)。この項目にチェックを入れてPDFにすれば、ハイブリッドPDFとして保存できる(注7)。

注7: ハイブリッドPDFとして保存できる
2008年9月20日現在、「PDF Import Extension」は正式リリースではなく、ベータ版である。デザインが崩れる問題は徐々に改善されつつあるようだ。

その他の拡張機能

その他の拡張機能について、簡単に紹介する。「Wiki Publisher Extension」は、WikipediaなどMediaWikiというWikiサービスを利用したサイトに、OOoのWriterで作成したドキュメントを自動的にアップロードできる機能を追加する。「Presenter Console Extension」は、Impressを使用してプレゼンテーションを行う際に便利な拡張機能だ。マルチディスプレイ機能を備えたノートPCなら、プロジェクターで投影されたスクリーンとは別に手元のディスプレイでは、プレゼンテーション用のノート、スライド一覧、操作のヘルプ画面を切り換えたり、常に経過時間を確認できる時計ツールが表示されるようになる。

「Presentation Minimizer Extension」は、プレゼンテーションファイルを圧縮する拡張機能だ。プレゼンテーションファイルに含まれる画像を、ディスプレイ、プロジェクタ、あるいは印刷と目的にあわせたクオリティに設定することで、ドキュメントで利用されている画像を最適な圧縮サイズのJPEG画像にしてくれる。ディスプレイ上での閲覧に限定すれば、大幅にファイルの圧縮が図れるだろう。