各モデルについてのポイントを簡単に説明をしておこう。

Radeon HD 2900(R600)シリーズ~HD 2900 XTのみでXTX不在! GDDR4不採用! 意味するところは?

モデルは現在HD 2900 XTのみが設定され、XTXモデルの設定はなし。HD 2900シリーズはハイエンドにカテゴライズされ、実質的にはRadeon X1900シリーズからの置き換えになる。

トランジスタ数は7億の大台にのり、GeForce 8800シリーズの6億8100万を上回った。製造はTSMCの80nm-HS(HIGH SPEED)プロセスルール。GeForce 8800シリーズが90nm-GT(HIGH-PERFORMANCE)プロセスなので半世代分HD 2900が先行していることになる。

その甲斐あってHD 2900 XTの動作コアクロックはGeForce 8800 GTXの575MHzを遙かに上回る、740MHzとなっている(北米本社提供のデータには742MHzとある)。ただし、GeForce 8800 GTXではマルチクロックドメイン設計を採用し、シェーダコアのみ1.35GHzで駆動させていたが、HD 2900 XTではそうしたデザインは採用しておらずシェーダコアも同一の740MHzで駆動されている。

シェーダコアはNVIDIA同様、統合型シェーダアーキテクチャを採用したものとなった。DirectX 10/SM4.0のスペックを実装するにはこの方がどうしても都合がよくなるので、このアプローチ自体に驚きはない(統合型シェーダアーキテクチャについてはあとでおさらいする)。汎用シェーダは320基。GeForce 8800 GTXの128基を大きく上回る大量実装だ。

汎用シェーダ1基1基はスカラプロセッサの形態であり、ポテンシャル的にはほぼGeForce 8800 GTXのものと同等と考えてよい。とはいえ、GeForce 8800シリーズでは汎用シェーダをベースコアクロックの2倍近い高クロックで駆動していたのに対し、HD 2900シリーズではベースコアクロックと同一クロックで駆動している。そのため汎用シェーダの個数が多いHD 2900が圧倒的に高性能かというと一概にはそうは言えない。

テクスチャユニットは16基(4×4)。これは全汎用シェーダから共有される形で実装される。実際にピクセルを出力する(ビデオメモリへの書き込みを行う)レンダーバックエンドは16基。

ビデオメモリはデータレート1650MHz(825MHz駆動。北米資料では828MHzとの記載もあり)のGDDR3 SDRAMを512MB搭載。ビデオメモリとして先代のRadeon X1900シリーズでGDDR4採用を先行してきたAMDにしては意外ともいえる選択だ。これについてはコストとパフォーマンス、そしてメモリチップの容量粒度の問題などが関係していると説明されている。

NVIDIAはGeForce 8800 GTXで768MB、8800 GTSで640MBのビデオメモリを搭載しており、HD2900 XTの512MBはいささか控え気味だ。筆者の勝手な根拠のない予想だが、コアクロックをより高く設定し、さらにより高クロックのGDDR4を1GB程度搭載したXTXモデルの投入…というようなラインナップ増強も将来的には計画されているのかもしれない。なお、ビデオメモリバスは業界初の512ビット・リングバスを採用する。これについての詳細は後述する。

消費電力はビデオメモリを含んだHD 2900 XTカード全体で200W以上と発表された。また、カード上にはNative CrossFireに対応するためのコネクタが配されていることが確認できる。

最上位モデルのRadeon HD 2900 XT