まとめ

ということで、YorkfieldコアのCore 2 Extreme QX9650を使って色々テストをしてみた。総じて言うと、

  • コアの基本的なMicroarchitectureは、本当に変わっていなかった。
  • L2キャッシュの増量による性能アップと、Latency増加による性能ダウンの功罪は難しいが、結果をみるとややスコアが伸びているケースが多いから、これは効果ありと判断しても良いだろう。もっぱら今回の性能アップは、このL2キャッシュの容量増加に起因するところが大きいと判断できる。逆に言えば、同じ動作クロックならたいしてConroe/Kentsfieldから性能アップは期待できないとも言える。
  • SSE4に関しては、前評判とは逆に、現時点では殆ど効果はなさそうだ。これをフル活用できるエンコーダが登場するまでは、あまり期待しない方が良いだろう。
  • 消費電力に関しては、間違いなく大幅に改良され、またオーバークロック性も恐ろしく高いと思える。勿論今回は評価用のエンジニアリングサンプルだから、ある程度特性が良いものが選別されている可能性はあるが、それでも同じエンジニアリングサンプルのKentsfieldと比較しても圧倒的な成績だから、これは期待できそうだ。

というあたりだろうか。アーキテクチャ的なIPCの向上に関してはNehalemまでお預けということだろう。ただ、TDPの枠一杯まで消費電力を引き上げるつもりであれば、4GHz台は無理にしてもPentium 4と同じく3.8GHzあたりまでは簡単に引っ張れそうに思う。つまり性能の伸び代がかなりあると言えるわけで、Phenom X4でこれに真っ向から対決するにはなかなか大変かもしれない。

ところで今回はちょっと落ち着いて検証できる環境ではなかったので軽く流してしまったが、64bit環境で異様にスコアが良いケースがあるのは、プロセッサそのものではなく、Windows Vistaが理由の可能性がある。というのは、今回はメモリを4GB搭載しつつも、オンボードデバイスのために実質3.3GB弱のメモリになり、更にRAMDISKを使ったことで実質2GBそこそこのメモリとして動作している。対して64bit環境ではオンボードデバイスがメモリを圧迫しない関係で、フルに4GBが利用できる。Windows XPではこれで動作が変わる事はないのだが、Windows Vistaではこれで多少なりともOSの処理が軽くなっているようで、それがスコアに反映されている可能性も否定できない。

最近はWindows Vista+マルチGPUの環境の準備が整いつつあるが、こうした環境で32bit OSを使うと、GPUがメモリ空間にかなり巨大な領域を占有してしまい、せっかく搭載したメモリが使えないといった話になりがちである。アプリケーションが対応していれば、という条件つきではあるが、そろそろVistaを本気で使うためには64bit環境への移行を考えたほうがいいかもしれない。