【特集】

W杯はハイビジョンで - 06年夏の薄型テレビはここがツボ

1 2006年春~夏の薄型テレビ技術動向

    村瀬孝矢  [2006/06/14]

    現在の薄型テレビ市場は液晶テレビとプラズマテレビの2大勢力で占められている。かつては大型サイズはプラズマ、小型サイズは液晶と棲み分けがなされていたが、最近は液晶テレビの大型化によって、これが崩れだしている。45V型クラスまで液晶が進出し、混戦の様相になっているのが現状だ。

    テレビを選択する際は、まず画面サイズ、次に価格、機能性といった要件をもとにして選ばれるだろう。画面サイズの制約は設置場所からくるもので、置き場所がなければ大画面テレビも導入できないし、出せる価格はユーザーのフトコロ具合でほぼ決まる。この2つをクリアすれば後はメーカー/モデルごとの比較になるだろう。

    比較でもっとも重要なのが画質だ。難しい画質用語が並んで分かりづらいにもかかわらずユーザーはこれを意識し、少しでも優位なモデルを購入したいと考える。画質を決定づけるのが、表示パネル、映像エンジン(映像回路)などの性能だ。表示パネルは液晶テレビもプラズマテレビもそれぞれメーカーごとに個性があり、とくに国内のプラズマは松下電器産業、日立、パイオニアの3社しか手掛けていないこと、またそれぞれオリジナルパネルということもあり大きな選択肢の1つになる。逆に液晶テレビは、シャープを代表格に、ソニー、東芝、日本ビクター、松下電器産業、日立などメーカー数が多い割にパネルメーカーは集約されており、細かく見なければパネルの違いで大きな画質差が出ることは少ない。

    プラズマの場合、松下電器産業、日立、パイオニアは三者三様で、松下電器産業は「新PEAKSパネル」、日立はFHPの「1080ALISパネル」、パイオニアは「新ピュアブラックパネル」と呼んでいる。いずれもパネル製造技術/工場を抱えていることから、各社ともオリジナルパネルと考えてよいだろう。どれが優れているとは一概にいえないが、いずれも黒浮きを抑えながら、画素数アップを図っているのが特徴だ。プラズマはもともと視野角、動画ボケなどの影響が少ないので、基本画質の改善に努力を図ってきた。今春モデルはいずれも新パネルを採用しており画質で競っている。明るさ、色合い、画素数の改善が進んでいる。

    液晶テレビは画面サイズを大きくすること、それにパネルコストを下げることを主眼にしてきたこともあり、画質向上についてはようやく取りくみ出した段階だ。それも、指摘されてきた視野角、動画ボケ対策に力が注がれ、現在、大幅な改善が進みつつある。画素数に対してはもともと液晶パネルが有利なこともありプラズマよりも優位に立っている。例えば、同じ37V型で比較すると液晶テレビの方が少し画素数が多く映像の緻密さで勝ることが多い。

    視野角、動画ボケ対策はパネルの方式で左右される。視野角で有利なのはIPSパネルで、東芝、日立、松下などが採用している。シャープやソニーはVA系パネルだが、今はそれを改良したMVA化したパネルで視野角を広げており、IPSに劣らない程度まで改善した。動画ボケは液晶パネルの表示方式に絡む弱点で、改善するためにパネルドライブ法を開発、搭載し向上させている。120Hzドライブといった方式を日本ビクター、日立などが採用、良好な表示能力を持たせた。シャープなども液晶素材そのものを改善し取り組んでいる。

    液晶テレビで特徴的なのはバックライトやカラーフィルターを使って映像を表示することだ。このバックライトで色合いが、カラーフィルターでコントラストなどが変化する。現在、バックライトの発光波長を工夫した色再現の拡大化が始まっている。ソニー、シャープなどCCFL管の発光色を改善したり、LEDを予備的に使用したりしているのがそれだ。RGBの3色用のカラーフィルターも選択性を改善することでコントラストを上げるなどの取り組みが行われている。

    また最近では、省エネにもユーザーの関心が向かってきている。液晶テレビとプラズマのどちらが省エネか、モデルやメーカーの違いでどれが省エネに勝っているかなどを比較することが多くなってきた。液晶テレビはプラズマに対し省エネで勝っていたというが、昨今はそれも過去の話になりつつある。プラズマは映像シーンによって消費電力が変動し、かつ基本的な発光効率が上がったこともあり、一概に液晶テレビの方が勝っているといえなくなってきている。

    ここは購入時にカタログ比較されることをお薦めしたいが、なかでも年間消費電力を比べれば求めるモデルが浮んでくると思う。参考までに示すと、プラズマ42V型で266kwh/年(パイオニア)、液晶テレビ45V型で274kwh/年(シャープ)というように拮抗してきているのが現状だ。

    このように、薄型テレビをとりまく世界では急速に技術開発が進んでおり、世代が変わるたびに高画質、高機能、高性能になっている。今後はこれらの性能を踏まえ、その性能を長期間に渡って安定して維持できるか、いかに省電力性能に優れているか、そういった点も注目されるだろう。

    (協力:吉野亘)

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