【特集】

Radeon X1000シリーズ徹底解説 - 新アーキテクチャで何が変わったのか

9 Radeon X1800シリーズのみに採用された「リングバス・メモリコントローラ」

    西川善司  [2005/12/30]

    高速かつ大容量のビデオメモリをGPUに接続するには、従来のメモリコントローラでは配線が集中して、なおかつ負荷も集中し、いずれ限界が来てしまう。

    Radeon X850シリーズ以前のメモリコントローラ。中央集中型。

    Radeon X1800シリーズに登載されるリング・バス式では初期レイテンシはあるがメモリコントローラに負荷が集中しない

    そこで、さらなる高速/大容量ビデオメモリとの接続を想定し、メモリインタフェース能力を高めるために、ハイエンドのRadeon X1800シリーズのみに新実装したのが「リングバス・メモリコントローラ」だ。概念図を図に示す。中央がメモリコントローラ、外周にメモリの実体と、メモリとメモリを結ぶバスラインが確認できるだろう。

    Radeon X1800シリーズのみに登載されるリング・バス・メモリコントローラのブロックダイアグラム。

    3Dコアからメモリアクセスが発生すると、図中央のメモリコントローラに伝達され、ここから内回り/外回りの山手線のような向きの異なる256ビットバスを通じてそのデータが存在しているメモリチップへアクセス、希望のデータのやりとりを行う。直接データのやりとりが行える従来のクロスバー接続方式と比較すれば、最初のアクセス成功までのレイテンシは大きくなるが、連続転送(バースト転送)が多いグラフィックス用途のメモリ活用では、この弱点はほとんど無視できるという。

    GDDR3 SDRAMは1.6GHz以上2.0GHz程度までのものが登場するといわれており、事実、サムスンは2005年7月に2.0GHzのGDDR3を発表している。また、次世代GPUでは早々にGDDR4に移行するという話もあり、実際にサムスンは2005年10月に2.5GHzのGDDR4を発表している。このリングバスは、そうした超高速メモリを大容量に搭載する際にも、メモリコントローラに掛かる負荷を低減でき、スケーラブルな対応が見込めるところに利点があるのだ。カードベンダにとっても、その時点での最速メモリを組み合わせたスペシャル版Radeon X1800カードの製品投入も容易になる。

    終わりに

    ついに、というか、やっとATIとNVIDIAがSM3.0対応で足並みが揃った。

    確かにATIとNVIDIAとでHDRレンダリングのサポート度合いやVTF対応、未対応の違いといった細かい違いはあるが、両者の最大公約数的な機能だけでも、出来ることはSM2.0よりも大部広がった。

    ここ3年間、「ATI派」「NVIDIA派」といった宗派のようだったGPU選びが、SM3.0という基本ラインに立ったことで、性能と価格のバランスだけで選んでまず問題なくなったことは、ユーザーとして素直に歓迎すべき事だろう。

    日本でもマイクロソフトから2006年1月に発売されるリアルタイムストラテジーゲーム「AGE OF EMPIRE III」は積極的なSM3.0対応がなされており、SM3.0対応GPUのキラーソフトとなると見込まれている。

    ただ、ATI対NVIDIAの熾烈な争いが終わることはない。

    ATIは最新世代GPUのRadeon X1000シリーズを全マーケットレンジに展開したことで、未だメインストリームとバリューにて先代GeForce 6シリーズを現行製品としているNVIDIAに対して優位な立場にあるが、これをNVIDIAがみすみす見過ごしているはずもない。

    ハイエンドクラスでは、ATIが最速の称号をRadeon X1800 XTで獲得したのも束の間、さっそく「もの申す」と言わんばかりに「GeForce 7800 GTX 512」を緊急投入してきた。いずれGeForce 7600(予想)や7200(予想)といったモデルの投入も近いうちにあることだろう。

    また、2006年にはWindows Vistaが発売され、このタイミングに前後してD3D10対応のSM4.0世代のGPUも発表されるはずだ。D3D10世代では、頂点シェーダ、ピクセルシェーダに加え、第三のシェーダ「ジオメトリシェーダ」や「テッセレータ」(オプション扱い)が追加される予定で、そうした機能面でATIとNVIDIAの足並みが揃うかが注目される。

    Windows Vistaでのグラフィックスパイプライン。当初「WGF」と呼ばれ、その後WGF2.0と改称、最終的にD3D10に落ち着いた。「テッセレータ」と「ジオメトリシェーダ」がD3D10としての新機能ブロック。

    今、この瞬間は非常に分かりやすいが、もうちょっと時間が経つと、また買い時が難しくなるのだ。

    (トライゼット西川善司)

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